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親の介護が始まると、「近くに住んでいるから」「長男・長女だから」といった理由で、一人の兄弟姉妹に負担が集中することがあります。
介護は身体介助だけではありません。通院の付き添い、ケアマネジャーとの連絡、買い物、書類手続き、緊急時の対応、費用の管理など、見えにくい役割も積み重なります。
兄弟で介護を分担するときに大切なのは、すべてを同じ量にすることではなく、それぞれの距離・仕事・家庭状況を踏まえながら、特定の人だけが抱え込まない体制をつくることです。
この記事では、親の介護を兄弟姉妹で分担するときの役割の整理方法、介護費用の考え方、遠方からできること、話し合いがうまくいかない場合の対応まで解説します。
兄弟で親の介護を分担するときは「平等」より継続できる形を考える
兄弟が二人なら介護を半分ずつ、三人なら3分の1ずつにすれば公平に見えます。しかし、実際には住んでいる距離、勤務時間、子育て、健康状態、経済状況などが異なります。
そのため、同じ回数の介護を求めるより、それぞれが継続できる役割を持つほうが現実的です。
たとえば、親の近くに住む人が通院同行を担当し、遠方の人がサービスの情報収集や費用の一部を担当するなど、役割の種類を変える方法もあります。
まず「誰が何をしているか」を見える化する
兄弟間で負担感がずれる理由の一つは、介護に含まれる作業が共有されていないことです。
現在発生していることを書き出してみましょう。
- 食事・排泄・入浴などの直接的な介助
- 通院や買い物の付き添い
- 薬や日用品の準備
- ケアマネジャーや介護事業所との連絡
- 介護サービスの契約や書類手続き
- 入院時や緊急時の対応
- 親への定期的な電話や訪問
- 介護費用や立替金の管理
- 施設やサービスの情報収集
「週に何回実家へ行っているか」だけでなく、電話対応や調整などの見えにくい作業も含めることがポイントです。
介護の役割分担はどう決める?
役割を決めるときは、「できる人が全部する」状態にならないようにします。
それぞれのできること・難しいことを確認する
仕事の曜日、住んでいる場所、車の運転、子育て、本人の健康状態などを確認し、継続できる役割を考えます。
主担当と予備の担当を決める
通院やケアマネジャーとの連絡などは、主に担当する人を決めておくと混乱を減らせます。ただし、その人が対応できない場合の代わりも考えておきましょう。
定期的に見直す
親の要介護度や家族の仕事・生活は変わります。一度決めた分担を固定せず、介護量が増えたときや生活状況が変わったときに見直します。
遠方に住む兄弟にもできる介護の分担がある
遠方に住んでいると、日常的な訪問や身体介助は難しいでしょう。しかし、距離があっても担当できる役割はあります。
- 電話で親の様子を定期的に確認する
- 介護サービスや施設の情報を調べる
- 兄弟間の連絡や予定をまとめる
- 必要な手続きについて情報を整理する
- 帰省時に主介護者が休める時間をつくる
- 交通費や介護費用など金銭面の分担を話し合う
一人暮らしの親を離れて支える具体的な方法は、一人暮らしの親に介護が必要になったら?でも解説しています。
親の介護費用を兄弟でどう分担する?
介護費用については、最初から兄弟で割り勘にするのではなく、まず親本人の年金・収入・預貯金と介護に必要な費用を整理します。
親本人のお金だけでは不足する場合は、兄弟それぞれの経済状況や、すでに負担している介護時間・交通費なども含めて話し合います。
一人が費用を立て替える場合は、支払日・内容・金額が後から確認できるよう記録を残しておくと、認識のずれを防ぎやすくなります。
介護費用の基本的な考え方や負担軽減制度については、親の介護費用は誰が払う?で詳しく整理しています。
主介護者に「時間・お金・判断」をすべて集中させない
親の近くに住む兄弟が、通院、介護サービスとの連絡、緊急対応、日常の見守りを担当しているケースがあります。
そこへ費用負担や家族全員への報告まで集中すると、主介護者が休めなくなる可能性があります。
身体介護を直接代われなくても、連絡、手続き、費用、帰省時の交代などを分けることで負担を減らせます。
すでに介護と仕事の両立が難しくなっている場合は、親の介護と仕事を両立できないと感じたら?も確認してください。
兄弟で揉めにくくするための情報共有
介護では、親の状態や必要な支援が短期間で変わることがあります。一人だけが情報を持つ状態を避け、重要な内容は共有しましょう。
- 現在の要介護度や主な困りごと
- 利用している介護サービス
- 通院や入退院の状況
- 今後必要になりそうな支援
- 親本人の希望
- 介護費用や立替金
電話だけで決めると記憶の違いが起こることもあります。家族が使いやすい方法で、重要な決定や費用を後から確認できる形にしておくと安心です。
兄弟が介護に協力してくれないときはどうする?
兄弟へ協力を求めても、「仕事が忙しい」「遠いからできない」「自分には関係ない」と話し合いが進まない場合があります。
その場合は、感情的に「もっと介護して」と求めるだけでなく、現在発生している作業と負担を具体的に伝えます。
たとえば、「週3回の通院・買い物を一人で担当している」「毎月この費用を立て替えている」など、何が集中しているのかを共有します。
直接介護が難しい兄弟には、費用、情報収集、帰省時の交代など別の役割を提案する方法もあります。
家族間の扶養や費用負担をめぐって法的な争いになっている場合は、介護職やケアマネジャーだけで解決しようとせず、自治体の法律相談や法テラス、弁護士など適切な専門窓口への相談も検討してください。
家族だけで介護を分担しきろうとしない
兄弟が協力できていても、家族だけで24時間の介護を担うことには限界があります。
訪問介護、デイサービス、ショートステイなどの介護サービスを利用し、家族が担う範囲そのものを減らす視点も必要です。
ケアマネジャーには本人の状態だけでなく、「家族の負担が一人に集中している」「仕事との両立が難しい」といった事情も伝えましょう。担当者をこれから探す場合や、相談しやすいケアマネを選びたい場合は、ケアマネジャーの探し方・選び方も参考にしてください。
相談先が分からない場合は、地域包括支援センターで相談できることを参考にしてください。
兄弟で親の介護を分担するときによくある疑問
長男や長女が中心になって介護しなければいけない?
「長男・長女だから」という理由だけで役割を固定するのではなく、それぞれの生活状況や親本人の希望、利用できるサービスを踏まえて介護体制を考えることが大切です。
遠方の兄弟と同じ量の介護を求めるべき?
同じ量にそろえる必要はありません。直接介護が難しければ、情報収集、費用、帰省時の交代など別の方法で分担できないか話し合います。
介護費用は兄弟で均等に払うべき?
まず親本人の収入・資産と必要な介護費用を確認します。家族からの援助が必要な場合も、各家庭の経済状況や介護時間など事情が異なるため、一律の割合ではなく継続できる方法を話し合うことが重要です。
兄弟だけでは話し合いがまとまらない場合は?
介護サービスや家族の介護負担については、ケアマネジャーや地域包括支援センターへ相談できます。金銭や扶養をめぐる法的な争いについては、法律相談など専門的な窓口を利用してください。
まとめ|兄弟の介護分担は「同じ量」ではなく一人に集中させないことが大切
親の介護を兄弟で分担するときは、まず身体介助だけでなく、通院、連絡、手続き、費用、緊急対応など現在発生している役割を見える化します。
そのうえで、住んでいる距離や仕事、家庭状況を踏まえて、それぞれが継続できる役割を決めましょう。遠方でも担当できることはあります。
兄弟だけで介護を均等に背負うのではなく、介護サービスや専門職も含めて、一人に負担が集中しない体制をつくることが重要です。

飲食・WEB・デザイン・出版など、様々な業界を経験し、今は日々利用者さんと向き合う現役のケアワーカー。介護にたどり着いたのは、大好きだった祖母の自宅介護がきっかけ。
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