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離れて暮らす親から「転んだ」「買い物がつらくなった」と連絡が来たり、久しぶりに帰省して生活の変化に気づいたりすると、「このまま一人暮らしを続けて大丈夫だろうか」と不安になることがあります。
家族としては、すぐ同居したほうがよいのか、介護サービスを使えるのか、毎日電話すべきなのかと迷うでしょう。しかし、一人暮らしだからすぐ施設入居や同居が必要とは限りません。本人が困っていることと安全上のリスクを整理し、地域の支援を組み合わせることが出発点です。
この記事では、一人暮らしの親に介護が必要になったときの確認事項、相談先、要介護認定、見守りや生活支援、離れて暮らす家族が整えたい連絡体制、在宅生活を見直すサインまで順番に解説します。
一人暮らしの親に介護が必要かも?最初に確認したいこと
最初から「一人では危ない」と結論を出すのではなく、現在の生活で何ができていて、どこに困りごとがあるのかを確認します。
- 食事を準備して定期的に食べられているか
- 薬を指示どおり管理できているか
- 入浴や着替え、排泄に困っていないか
- 買い物やゴミ出しが負担になっていないか
- 転倒や火の消し忘れなどが起きていないか
- 通院を継続できているか
- お金や重要な郵便物を管理できているか
- 近所や友人との交流が極端に減っていないか
本人に直接聞くだけでは「大丈夫」と答える場合もあります。冷蔵庫の中、室内の片づき方、未開封の郵便物、服薬状況など、生活の変化も確認材料になります。
急な体調悪化、転倒によるけが、意識障害など緊急性がある場合は、介護制度の相談より先に医療機関や救急対応が必要です。
一人暮らしの親の介護はまずどこへ相談する?
何から始めるか分からない場合は、親が住んでいる地域を担当する地域包括支援センターが相談先の一つです。
地域包括支援センターは市町村が設置する高齢者の総合相談窓口で、介護だけでなく、生活上の困りごと、介護予防、権利擁護などを含めて支援につなぐ役割があります。
厚生労働省の介護サービス情報公表システムでは、住所によって担当する地域包括支援センターが異なることが案内されています。離れて暮らしている場合も、家族側の地域ではなく、まず親の居住地を担当するセンターを確認しましょう。
詳しい相談内容や探し方は、地域包括支援センターでは何を相談できる?で整理しています。
介護サービスが必要なら要介護認定を検討する
介護保険サービスの利用を検討する場合は、要介護認定の申請が必要になることがあります。
申請後は認定調査や主治医意見書などをもとに判定が行われ、認定後は本人の状態に応じたケアプランを作成して必要なサービスを検討していきます。
「まだ歩けるから申請できない」と自己判断する必要はありません。身体機能だけでなく、生活上どの程度の支援が必要かを含めて認定されます。
申請先や認定調査の流れは、要介護認定はどうやって申請する?を参考にしてください。
一人暮らしの親を支える介護・生活支援サービス
一人暮らしを続ける場合、家族がすべてを担うのではなく、本人が苦手になった部分に支援を組み合わせます。
訪問系サービス
本人の状態やケアプランに応じて、訪問介護など自宅で受けるサービスを検討できます。どの支援が介護保険の対象になるかは個別の状況によって異なるため、ケアマネジャーなどと確認します。
通所サービス
デイサービスなどを利用すると、日中の活動、入浴、食事、機能訓練などにつながる場合があります。本人が通所を嫌がる場合は無理に押し切らず、理由や事業所との相性を確認することが大切です。
配食・買い物・家事などの生活支援
厚生労働省の介護サービス情報公表システムでは、地域の生活支援として、見守り・安否確認、配食、家事援助、外出支援などが案内されています。内容や利用条件は自治体・地域によって異なります。
介護保険だけでは対応しにくい生活支援が必要なら、介護保険外サービスの種類・費用・利用メリットも確認してください。
離れて暮らすなら見守り・安否確認の仕組みをつくる
家族が毎日訪問できない場合は、「家族が行けない時間をどう埋めるか」を考えます。
地域によっては自治体や地域団体、民間事業者などによる見守り・安否確認、配食と組み合わせた見守り、緊急通報などがあります。厚生労働省も、単身・高齢者のみ世帯が増える中で、地域包括支援センターによる見守りや地域の多様な関係機関との連携の重要性を示しています。
- 定期的な電話やビデオ通話
- 配食時の安否確認
- 地域の見守りサービス
- 緊急通報サービス
- センサーなどを利用した民間の見守りサービス
- 近隣の信頼できる人との連絡体制
ただし、見守り機器を一方的に設置すると、本人が監視されていると感じることがあります。本人の意向やプライバシーにも配慮し、何のために使うのかを共有してから導入することが大切です。
離れて暮らす家族ができることは「介護そのもの」だけではない
遠方の家族は、直接の身体介護を毎日行えなくても、支援体制を整える役割を担えます。
- 親の困りごとや希望を整理する
- 地域包括支援センターやケアマネジャーと連絡を取る
- 受診や介護サービスの情報を家族で共有する
- 契約や支払いに関する確認を手伝う
- 帰省時に生活環境の変化を確認する
- 兄弟姉妹がいる場合は役割を分担する
「離れているから何もできない」と考える必要はありません。一方で、連絡・手続き・帰省を一人の家族だけが抱え込むと負担が大きくなります。兄弟姉妹がいる場合は、距離や勤務状況も踏まえて役割を分ける方法を兄弟で親の介護をどう分担する?で詳しく整理しています。
転倒・急変に備えて緊急時の連絡体制を決めておく
一人暮らしで特に心配なのは、転倒や急な体調不良が起きたときに発見が遅れることです。
元気なうちから、緊急時に誰へ連絡するかを家族で確認しておきましょう。
- 主な家族の連絡先
- かかりつけ医や利用中の医療機関
- 担当ケアマネジャーや利用中の介護事業所
- 緊急時に近くで対応できる親族や知人
- 本人が普段服用している薬の情報
合鍵をどう管理するか、救急搬送時に誰が病院へ向かうかなども家庭によっては確認しておくと安心です。個人情報や鍵の扱いは、本人の同意を得て慎重に決めてください。
一人暮らしの親に認知症が疑われる場合は早めに相談する
同じ話を何度もするだけでなく、服薬ミス、支払いの滞り、不要な契約、火の不始末、道に迷うといった変化がある場合は、一人暮らしの安全に影響することがあります。
認知症かどうかを家族だけで決めつけず、かかりつけ医や地域包括支援センターなどへ相談してください。地域包括支援センターは、必要に応じて認知症に関する相談窓口や医療・支援機関につなぐ役割もあります。
一人暮らしを続けるか見直したいサイン
支援を増やしても安全を保ちにくくなった場合は、一人暮らしの継続方法そのものを見直します。
- 転倒や救急搬送を繰り返している
- 食事や服薬の管理が大きく崩れている
- 夜間の外出や火の不始末など重大な危険がある
- 必要な介護サービスを本人が継続して利用できない
- 家族が頻繁な緊急対応を求められ生活が成り立たない
- 支援を組み合わせても本人の安全確保が難しい
この段階でも「同居か施設か」の二択だけではありません。介護サービスの追加、住み替え、家族の近くへの転居、見守りのある住まいなど、本人の状態と地域の選択肢を確認します。
在宅生活の継続そのものに迷っている場合は、在宅介護はどこまでできる?限界のサインもあわせて確認してください。施設入居も選択肢として考え始める段階なら、親を老人ホームに入れるタイミングは?で施設探しを始めるサインや判断ポイントを整理しています。
一人暮らしの親の介護でよくある疑問
一人暮らしでも介護サービスは利用できる?
一人暮らしであることだけを理由に介護サービスが利用できなくなるわけではありません。本人の認定状況や必要な支援に応じて、ケアマネジャーなどとサービスを検討します。
親が介護サービスを嫌がるときは?
何が嫌なのかを確認します。知らない人を家に入れたくない、介護が必要だと認めたくない、サービス内容が合わないなど理由はさまざまです。家族だけで説得を続けず、地域包括支援センターやケアマネジャーにも相談しましょう。
毎日家族が電話したほうがいい?
必要な頻度は本人の状態や希望によって異なります。毎日の連絡が安心につながる人もいれば、負担に感じる人もいます。家族の連絡だけに依存せず、地域の見守りやサービスも組み合わせると継続しやすくなります。
遠方に住んでいても地域包括支援センターへ相談できる?
まずは親の居住地を担当する地域包括支援センターへ問い合わせて、相談方法を確認してください。厚生労働省も、家族介護の相談では介護が必要な家族の居住地を担当する地域包括支援センターへの問い合わせを案内しています。
まとめ|一人暮らしの親の介護は「家族だけで見守る」状態にしない
一人暮らしの親に介護が必要になったと感じたら、まず食事、服薬、入浴、買い物、通院、転倒など、生活のどこに支障が出ているかを整理します。
そのうえで、親の居住地を担当する地域包括支援センターへ相談し、必要に応じて要介護認定やケアマネジャー、介護サービスにつなげていきます。
見守り、配食、訪問サービス、通所サービス、地域の支援などを組み合わせれば、一人暮らしを続けられるケースもあります。一方、安全上のリスクが大きくなったら住まいや介護体制の見直しも必要です。
家族が24時間見守ることを前提にせず、本人・家族・専門職・地域サービスで支える仕組みをつくることが、離れて暮らす介護を長く続けるポイントです。

飲食・WEB・デザイン・出版など、様々な業界を経験し、今は日々利用者さんと向き合う現役のケアワーカー。介護にたどり着いたのは、大好きだった祖母の自宅介護がきっかけ。
ケアチルでは、現場での視点も交えつつ、これから介護業界に携わろうとしている方、すでに業界にいて岐路に立っている方に向けて、介護業界の情報を分かりやすくお届けします。





