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家族の休息や仕事、冠婚葬祭などのためにショートステイを利用したくても、親から「泊まりたくない」「家にいたい」と拒否されることがあります。
ショートステイは自宅とは違う場所で一定期間過ごすため、初めて利用する本人が不安を感じるのは不自然ではありません。一方、家族が介護を休めない状態を続けると、在宅介護そのものが続かなくなることもあります。
大切なのは、本人の拒否を無視することでも、家族だけが我慢することでもなく、「なぜ嫌なのか」と「なぜ利用が必要なのか」の両方を整理することです。
この記事では、親がショートステイを嫌がる理由、無理に説得する前の確認点、初回利用の工夫、ケアマネジャーや事業所との調整、認知症がある場合、家族が休息を必要としている場合の考え方まで解説します。
ショートステイはどんな介護サービス?
介護保険のショートステイには、短期入所生活介護などがあります。短期入所生活介護は、居宅で暮らす要介護者が施設へ短期間入所し、入浴・排泄・食事などの介護、日常生活上の世話や機能訓練を受けるサービスです。
家族の事情や介護負担などに応じて利用されますが、本人から見ると「知らない場所へ泊まりに行く」という大きな環境変化でもあります。
そのため、サービスとして必要だからと説明するだけでは、本人の不安が解消されないことがあります。
親がショートステイを嫌がる主な理由
まず「わがまま」「頑固」と決めつけず、拒否の理由を探します。
- 自宅以外で眠ることが不安
- 知らない職員や利用者と過ごしたくない
- 何をされる場所なのか分からない
- 家族に預けられた、追い出されたように感じる
- 食事・入浴・就寝など自分の生活リズムを変えたくない
- 以前利用した施設で嫌な経験があった
- 認知症などによって利用する理由を理解しにくい
- 自分には介護が必要ないと思っている
本人が「嫌だ」としか言わない場合も、会話を重ねると、泊まること自体ではなく食事や入浴、他の利用者との関係など具体的な不安が見えてくることがあります。
嫌がる親を無理にショートステイへ行かせる前に確認したいこと
家族が利用を急いでいると、本人を説得することばかりに意識が向きやすくなります。
まずは次の点を整理しましょう。
- ショートステイを利用したい目的は何か
- 本人は何を嫌がっているのか
- 以前の利用で困ったことはなかったか
- 現在の事業所が本人に合っているか
- 家族はどの程度休息や時間を必要としているか
- 利用しない場合に在宅介護を続けられるか
本人の拒否理由と家族側の必要性を分けて整理すると、ケアマネジャーにも相談しやすくなります。
ショートステイを嫌がる親にはどう伝える?
「家族が大変だから泊まって」と一方的に伝えると、本人が負担をかけていると感じたり、拒否が強くなったりすることがあります。
本人が心配していることを先に聞き、「お風呂はどうするのか」「夜はどんな部屋なのか」など具体的な疑問を一つずつ確認します。
家族だけでは話が進まない場合、普段から関係のあるケアマネジャーや介護職からサービスについて説明してもらう方法もあります。
厚生労働省が公表した仕事と介護の両立事例にも、本人がショートステイを拒否した際、ケアマネジャーが家族の休息の必要性を時間をかけて説明し、利用先を変えながら徐々に慣れていった例があります。
初めてのショートステイで負担を減らす工夫
初回から長期間の宿泊を負担に感じる人もいます。利用方法を調整できるか、ケアマネジャーや事業所へ相談してみましょう。
- 本人に施設の様子を事前に説明する
- 可能なら事前見学について相談する
- 本人の生活リズムや好みを事業所へ伝える
- 普段使っている持ち物について持参可否を確認する
- 初回利用後に嫌だったこと・良かったことを確認する
- 相性が合わない場合は別の事業所も検討する
見学や利用日数、持ち物などの対応は事業所によって異なります。利用前に個別に確認してください。
ケアマネジャーとショートステイ事業所に何を相談する?
本人が拒否している場合は、「嫌がっています」だけでなく、理由や家庭の状況まで伝えます。
- 本人が不安に感じていること
- 認知症や身体状態
- 普段の睡眠・食事・排泄などの生活リズム
- 本人が好きな活動や苦手なこと
- 家族がショートステイを必要としている理由
- 過去の利用で困ったこと
本人と事業所の相性が問題なら、別の事業所を検討できるか相談します。まだ担当者が決まっていない場合は、ケアマネジャーの探し方・選び方も参考にしてください。
認知症の親がショートステイを嫌がる場合
認知症があると、利用する理由を覚えておくことが難しかったり、慣れない場所への不安が強くなったりする場合があります。
何度も論理的に説得すれば解決するとは限りません。本人が不安になりやすい時間帯、普段の習慣、安心しやすい声かけなどをケアマネジャーや事業所へ共有します。
利用後に強い混乱が続くなど気になる変化がある場合も、家族だけで判断せず、ケアマネジャーや医療職へ相談しましょう。
家族が休むためにショートステイを使ってもいい?
家族の休息は、ショートステイを検討する理由の一つです。
在宅介護では、夜間対応や見守りが続き、介護者が十分に眠れなくなることがあります。仕事、子育て、通院などと重なることもあるでしょう。仕事との両立そのものが難しくなっている場合は、親の介護と仕事を両立できないと感じたときの制度・相談先も確認してください。
家族が休息を取ることは、介護を放棄することではありません。在宅介護を継続するために、家族が介護から離れる時間を確保することも介護体制の一部として考えます。
すでに心身の負担が大きくなっている場合は、在宅介護はどこまでできる?限界のサインも確認してください。
どうしてもショートステイを利用できない場合は?
本人の拒否が強く利用が難しい場合は、ショートステイだけにこだわらず、家族の負担を減らす別の方法がないか検討します。
本人の状態によっては、訪問介護、デイサービスなど他の介護サービスを組み合わせられる場合があります。必要な支援や利用できるサービスは個別に異なるため、ケアマネジャーとケアプラン全体を見直します。
デイサービスにも拒否がある場合は、デイサービスを親が嫌がるときの対応も参考にしてください。
サービスを増やしても在宅生活の安全確保が難しい場合には、施設入居を含めて今後の住まいを考える段階になることもあります。親が施設入居そのものを嫌がっている場合は、親が老人ホームを嫌がるときの対応で考え方を整理しています。
ショートステイを親が嫌がるときによくある疑問
本人が嫌がっていても家族の都合で利用していい?
家族側の事情や休息も重要ですが、本人の意思を無視して進めるのではなく、拒否する理由と利用の必要性をケアマネジャーなどと整理してください。緊急性や本人の判断能力などによって状況も異なります。
ショートステイ先を変えることはできる?
本人との相性が合わない場合は、別の事業所を利用できないかケアマネジャーへ相談できます。ただし、空き状況や本人の状態、地域の事業所などによって希望どおり利用できない場合もあります。
ショートステイは老人ホームへの入居と同じ?
同じではありません。ショートステイは短期間施設に宿泊して介護などを受けるサービスです。長期的な住まいとしての施設入居とは目的や利用方法が異なります。
どこへ相談したらいいか分からない場合は?
担当ケアマネジャーがいればまず相談します。相談先が分からない場合は、親の居住地域を担当する地域包括支援センターへ相談する方法があります。詳しくは地域包括支援センターは何を相談できる?で解説しています。
まとめ|ショートステイ拒否は本人の不安と家族の必要性を両方整理する
親がショートステイを嫌がるときは、無理に説得する前に、自宅以外で泊まる不安、施設との相性、過去の経験など拒否の理由を確認します。
同時に、家族がなぜショートステイを必要としているのかも整理しましょう。介護者の休息、仕事、通院なども在宅介護を続けるうえで重要な事情です。
本人だけ、家族だけのどちらかが我慢するのではなく、ケアマネジャーや事業所と相談しながら利用方法や代替サービスを調整することが大切です。

飲食・WEB・デザイン・出版など、様々な業界を経験し、今は日々利用者さんと向き合う現役のケアワーカー。介護にたどり着いたのは、大好きだった祖母の自宅介護がきっかけ。
ケアチルでは、現場での視点も交えつつ、これから介護業界に携わろうとしている方、すでに業界にいて岐路に立っている方に向けて、介護業界の情報を分かりやすくお届けします。





