
現場の悩み・働き方・制度を、立ち止まって確認できる視点で発信しています。
介護保険サービスの自己負担について、「2割負担になる人の範囲を見直す」議論が2027年度に向けて続いています。
厚生労働省は2026年9月18日、社会保障審議会介護保険部会で「持続可能性の確保(給付と負担)」を議題にし、一定以上所得者の2割負担基準、金融所得・金融資産の扱い、高額介護サービス費などを検討課題として示しました。
ただし、2026年9月22日時点で「2割負担の対象拡大」が決定したわけではありません。資料では、第10期介護保険事業計画が始まる2027年度の前までに結論を得る方針が示されています。
2026年9月18日に何が議論された?
厚生労働省の第136回社会保障審議会介護保険部会では、「第1号保険料の在り方」と「持続可能性の確保(給付と負担)」が主要議題になりました。
厚生労働省の資料では、介護保険制度のサービス利用者が制度創設時の3.5倍を超え、介護費用の総額も約4倍になったと説明されています。また、65歳以上が支払う第1号保険料の全国平均は、第1期の月額2,911円から第9期の6,225円へ上昇しています。
こうした状況を背景に、必要な介護サービスを維持しながら、給付と負担のバランスをどう取るかが改めて検討されています。
現在の介護保険の自己負担は1〜3割
介護保険サービスを利用したときの自己負担は、原則としてサービス費用の1割です。一定以上の所得がある人は2割、さらに所得が高い人は3割負担になります。
厚生労働省の判定基準では、65歳以上の第1号被保険者について、本人の合計所得金額や年金収入などをもとに負担割合を判定します。第2号被保険者、市町村民税非課税者、生活保護受給者は原則1割負担です。
今回の見直し議論の中心は、このうち「一定以上所得」に該当して2割負担となる人の基準です。
2割負担の見直しで検討されていること
厚生労働省資料では、2割負担の判断基準について、2027年度の第10期介護保険事業計画開始前までに結論を得る方針が示されています。
検討の方向としては、大きく2つの考え方が示されています。
- 負担増に対応できると考えられる所得層に絞って2割負担の対象を見直す
- 一定の負担上限を設けたうえで、より広い所得層を2割負担の対象とする案を検討する
後者では、介護サービスの利用控えなどへの影響を分析しながら、負担上限の在り方を2028年度までに改めて検討する考え方も示されています。
介護サービスは医療と比べて長期間利用するケースも多いため、所得基準だけでなく、継続的な家計負担や必要なサービスを受け続けられるかという視点が重要になります。
利用者・家族への影響はどう考えればいい?
仮に2割負担の対象が広がれば、該当する人は介護サービス費の自己負担が増える可能性があります。
たとえば、介護保険が適用されるサービス費が月10万円の場合、1割負担なら自己負担は1万円、2割負担なら2万円です。実際の支払額は利用するサービス、支給限度額、各種軽減制度などによって異なります。
特に注意したいのは、介護が短期で終わらず、数年単位で続くケースです。月単位では小さく見える差でも、長期化すると家計への影響が大きくなることがあります。
一方で、介護保険には一定額を超えた自己負担を軽減する「高額介護サービス費」などの仕組みがあります。制度改正を評価するときは、負担割合だけでなく、こうした上限・軽減制度がどう設計されるかも確認する必要があります。
2割負担以外にも検討されている論点
9月18日の資料では、2割負担の基準以外にも、介護保険の給付と負担に関する複数の論点が整理されています。
- 65歳以上が支払う第1号保険料の設定
- 金融所得を保険料や自己負担に反映する仕組み
- 預貯金など金融資産の把握・反映方法
- 高額介護サービス費の在り方
- 多床室の室料負担
- 一部のケアマネジメントに利用者負担を求める案
- 軽度者への生活援助サービス等の給付の在り方
これらはすべて同じ段階で決定しているわけではありません。すでに実施時期が示されているものと、継続検討中のものを分けて読む必要があります。
決まったこと・まだ決まっていないこと
現時点で確認できること
厚生労働省は、2割負担となる「一定以上所得」の判断基準について、2027年度の第10期介護保険事業計画開始前までに結論を得る方針を示しています。
また、金融所得や金融資産の扱い、高額介護サービス費などについても継続的に検討する方針です。
まだ決まっていないこと
2割負担の対象が実際にどこまで広がるか、新しい所得基準がいくらになるかは、2026年9月22日時点では決定していません。
そのため、「来年から○○万円以上は2割になる」といった断定的な情報には注意が必要です。今後の審議会資料、法令・政省令、厚生労働省の正式発表で確認しましょう。
今後チェックしたいポイント
利用者や家族が今後確認したいのは、次の点です。
- 2割負担となる所得基準が変更されるか
- 対象拡大時に負担上限が設けられるか
- 高額介護サービス費の上限区分が変わるか
- 金融所得・金融資産をどのように判定へ反映するか
- 2027年度から実施される内容と、その後も検討が続く内容の区別
介護サービスを利用中の人は、制度変更が正式決定した段階で、市区町村から届く負担割合証や案内も必ず確認してください。
関連記事
介護保険の制度変更は、利用者負担だけでなく、介護事業所の運営やサービス提供体制とも関係します。報酬側の動きも合わせて整理したい方は、次の記事も参考になります。
まとめ
2026年9月18日の介護保険部会では、2027年度に向けて介護サービスの2割負担となる所得基準の見直しが改めて検討課題として示されました。
現時点で対象拡大は決定しておらず、具体的な所得基準や負担上限も未確定です。一方で、政府・厚生労働省は第10期介護保険事業計画が始まる2027年度の前までに結論を得る方針を示しています。
利用者・家族にとっては、負担割合だけでなく、高額介護サービス費などの軽減措置を含めた「実際の家計負担」が重要です。今後も正式な審議結果と制度改正内容を確認していきましょう。
確認時点:2026年9月22日
主な公的情報:
・厚生労働省「第136回社会保障審議会介護保険部会」
・厚生労働省「持続可能性の確保(給付と負担)について」
・介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」

飲食・WEB・デザイン・出版など、様々な業界を経験し、今は日々利用者さんと向き合う現役のケアワーカー。介護にたどり着いたのは、大好きだった祖母の自宅介護がきっかけ。
ケアチルでは、現場での視点も交えつつ、これから介護業界に携わろうとしている方、すでに業界にいて岐路に立っている方に向けて、介護業界の情報を分かりやすくお届けします。






