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2027年度(令和9年度)の介護報酬改定に向けた議論が、本格的な意見集約の段階に入っています。
厚生労働省の社会保障審議会・介護給付費分科会では、2026年9月10日、14日、16日の3回にわたり、介護・医療・福祉分野の関係団体などから意見を聞く「関係団体等意見交換会」が開かれました。
そこで示されたのは、訪問介護を含む各サービスの報酬、人材確保と処遇改善、生産性向上、外国人介護人材、さらに人口減少地域でサービスをどう維持するかといった幅広い課題です。
大切なのは、これらは現時点では「各団体からの要望・意見」であり、2027年度改定の内容として決定したものではないという点です。この記事では、2026年9月22日時点で確認できる議論の状況と、介護職・事業所・利用者が今後どこを見ておきたいかを整理します。
2027年度介護報酬改定に向け何が起きた?
介護報酬は、介護保険サービスを提供した事業者に支払われる公定価格です。基本報酬や各種加算の設計は、事業所の経営だけでなく、職員配置、賃金、業務内容、利用者が受けられるサービスにも影響します。
厚生労働省は2026年春以降、2027年度改定に向けてサービス種別ごとの課題や処遇改善、生産性向上などを介護給付費分科会で検討してきました。そして9月には、制度を実際に利用・運営する関係団体から直接意見を聞く場を3回設けました。
9月16日の第267回分科会までで、居宅サービス、施設・居住系サービス、医療系サービス、中山間・人口減少地域など幅広いテーマについて意見交換が行われています。
3回の意見交換会では何が扱われた?
厚生労働省が公表した資料によると、意見交換会は次の3回に分けて開催されました。
- 9月10日:介護系居宅サービスなど
- 9月14日:居住系・施設サービスなど
- 9月16日:医療系サービス、中山間・人口減少地域関係
参加団体には、ホームヘルパー関係団体、介護事業者団体、高齢者住まい関係団体、認知症関係団体、ケアテック関連団体、訪問看護・リハビリテーション関係団体、自治体などが含まれています。
つまり今回の3日間は、単一サービスだけではなく、2027年度改定で検討対象となり得る幅広い現場課題を集める場だったと捉えると分かりやすいでしょう。
訪問介護など居宅サービスで出た主な意見
9月10日の第265回分科会では、全国ホームヘルパー協議会・日本ホームヘルパー協会をはじめ、定期巡回サービス、地域包括・在宅介護支援、福祉用具、ケアテック、高齢者住まいなどの関係団体が意見を示しました。
このうちホームヘルパー関係団体からは、訪問介護の基本報酬の引き上げなどが要望されています。これはあくまで関係団体側の提案ですが、訪問介護では人材確保や事業継続が大きな課題となっており、2027年度改定でどのように扱われるかが注目されます。
そのほかにも、地域や事業形態による経営状況の違い、事務負担、サービス提供の柔軟性、テクノロジー活用など幅広い意見が出ています。
訪問介護の報酬水準だけを見るのではなく、人材確保や移動負担、事務作業、生産性向上を含めて制度設計がどう整理されるかが今後のポイントです。
施設・居住系サービスで出た主な意見
9月14日の第266回分科会では、高齢者住まい、軽費老人ホーム、ユニット型施設、社会福祉法人、認知症グループホーム、介護人材、ケアテックなどの関係団体が参加しました。
複数の関係団体からは、物価や人件費への対応を念頭に、基本報酬の引き上げや人材確保策、生産性向上に関する制度の見直しを求める意見が示されています。
一方で、生産性向上を進める場合にも、単に人員を減らせるかどうかではなく、利用者の生活や介護の質をどう評価するかという論点があります。介護福祉士の職能団体からも、テクノロジー活用や業務見直しを進める際には、介護の質をどう捉えるのかが重要との意見が出ています。
医療系サービス・人口減少地域で出た論点
9月16日の第267回分科会では、訪問看護、リハビリテーション、栄養、医療法人などの医療系サービスに加え、島根県や自治体・福祉法人などから中山間・人口減少地域の課題について意見が示されました。
報道・団体発表では、訪問看護における賃金や移動負担、外国人介護人材の育成・定着、人口減少地域でサービス提供を継続する仕組みなどが論点として挙げられています。
人口が減る地域では、都市部と同じ事業モデルでは運営が難しい場合があります。利用者宅までの移動距離、人材確保、利用者数の少なさなどが重なるためです。
そのため2027年度改定では、全国一律の報酬だけでなく、地域差やサービスを維持するための仕組みをどう設計するかも確認したいポイントになります。
介護職への影響で注目したいポイント
介護職にとって特に関係が深いのは、次の3点です。
処遇改善が基本報酬や加算にどう反映されるか
介護職の給与は、事業所の収入となる介護報酬や処遇改善に関する加算と密接に関係します。2027年度改定で基本報酬と処遇改善の仕組みがどう整理されるかは、現場にとって重要です。
人手不足対策と生産性向上がどう組み合わされるか
人材不足への対応として、ICT・介護テクノロジー、業務分担、事務負担の軽減などが引き続き議論されています。ただし、導入しただけで負担が減るとは限りません。現場で使いやすい仕組みになるか、人員配置の考え方とどう結び付くかを見ていく必要があります。
サービス種別・地域による働きやすさの差
訪問介護、施設介護、訪問看護、中山間地域などでは、人材確保や業務負担の課題が異なります。改定内容によっては、職場ごとの採用条件や配置、業務の進め方にも影響が及ぶ可能性があります。
決まったこと・まだ決まっていないこと
現時点で確認できること
2027年度介護報酬改定に向け、厚生労働省の介護給付費分科会で検討が進められており、9月10日・14日・16日に3回の関係団体等意見交換会が開かれました。
また、これまでの分科会では介護人材の処遇改善、生産性向上、認知症対応、医療・介護連携、LIFE、地域のサービス提供体制なども議題となっています。
まだ決まっていないこと
基本報酬をどの程度変更するか、訪問介護の報酬をどうするか、処遇改善の仕組みをどう設計するかなど、具体的な2027年度改定内容は2026年9月22日時点では決定していません。
各団体の要望が、そのまま最終的な制度になるわけでもありません。今後、介護給付費分科会での審議や政府の予算編成などを経て、具体的な改定内容が固まっていきます。
今後の介護報酬改定で確認したいこと
これから特に確認したいのは次の点です。
- 基本報酬がどのサービスでどのように見直されるか
- 介護職の処遇改善制度がどう変わるか
- 訪問介護の経営・人材確保への対応が盛り込まれるか
- ICT・介護テクノロジー活用と人員配置の関係
- 中山間・人口減少地域でサービスを維持する仕組み
- 外国人介護人材の育成・定着支援
特に給与や配置基準に関するニュースは注目を集めやすい一方、検討段階の内容が「決定事項」のように広がることもあります。厚生労働省の審議会資料や正式な改定通知を基準に確認することが大切です。
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介護報酬と働き方の関係をさらに理解したい方は、次の記事も参考にしてください。
まとめ
2027年度介護報酬改定に向け、厚生労働省は2026年9月10日・14日・16日に3回の関係団体等意見交換会を開催しました。
訪問介護の報酬、人材確保、処遇改善、生産性向上、外国人介護人材、人口減少地域のサービス維持など、介護現場に直結する幅広い課題が示されています。
ただし、現段階は意見集約・検討の途中で、具体的な報酬単価や制度変更が決定したわけではありません。今後は、それぞれの要望が介護給付費分科会でどのように整理され、最終的な2027年度改定へ反映されるかが焦点です。
確認時点:2026年9月22日
主な情報源:
・厚生労働省「社会保障審議会(介護給付費分科会)」
・厚生労働省「第265回社会保障審議会介護給付費分科会」
・厚生労働省「第266回社会保障審議会介護給付費分科会」
・厚生労働省「第267回社会保障審議会介護給付費分科会」

飲食・WEB・デザイン・出版など、様々な業界を経験し、今は日々利用者さんと向き合う現役のケアワーカー。介護にたどり着いたのは、大好きだった祖母の自宅介護がきっかけ。
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