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※この記事は「記録・報連相・多職種連携」に関する介護現場あるあるQ&Aの一つです。
介護現場で利用者の体調が変わったとき、医師への電話で「何から話せばよいか分からない」「質問されると焦ってしまう」と感じることがあります。
報告では、すべての経過を最初から説明するより、今何が起きていて、いつから普段と違い、何を判断してほしいのかを簡潔に伝えることが大切です。この記事では、SBARという情報整理の方法と、現場で使える電話の例文を紹介します。
ただし、意識がない、正常な呼吸がない、突然の麻痺があるなど緊急性が高い場合は、メモ作成や医師への通常連絡を優先せず、施設の緊急対応手順と119番通報などの救急対応を行ってください。
医師への通常報告より救急対応を優先する場合
呼びかけに反応しない、正常な呼吸がない、突然顔がゆがむ・片側の手足が動かない・ろれつが回らない、強い呼吸困難や胸痛があるといった場合は、生命に関わる可能性があります。
緊急時は、医師にうまく報告する準備よりも救急対応が先です。所属施設の手順に従い、119番通報、応援要請、必要な救命処置を行います。医師や管理者への連絡を待つことで救急要請を遅らせないようにしてください。
どのような状態変化に注意するかは、介護利用者の急変サインと観察・報告のポイントでも整理しています。
医師への報告でまず伝えたい情報
緊急対応が必要な状況ではなく、施設の連絡体制に沿って医師へ報告する場合は、次の情報を整理します。
- 利用者の氏名など、取り違えを防ぐための識別情報
- 連絡者の氏名・職種・施設名
- 現在の症状と、普段と異なる点
- 症状が始まった時刻、最後に普段どおりだった時刻
- 確認できた体温・血圧・脈拍・呼吸・酸素飽和度など
- 食事、水分、排泄、意識や動作の変化
- すでに行った対応と、その後の変化
- 医師に相談したい内容や必要な指示
すべての項目が毎回必要とは限りません。測定できていない情報を推測で埋めないこと、情報収集のために必要な連絡を遅らせないことが重要です。測定や観察は自分の業務範囲と施設の手順に従います。
SBARを使った報告の順番
SBARは、状況を簡潔に共有するための情報整理の枠組みです。医療・介護の連携で参考になりますが、職場の指定様式がある場合はそちらを優先してください。
S:Situation(現在の状況)
最初に誰について、何のために連絡したかを伝えます。「Aさんの発熱と食事量低下について、診察の必要性を相談したくお電話しました」のように要件から話します。
B:Background(背景)
症状が始まった時刻、普段の状態、関連する既往歴など、必要な背景を補足します。既往歴や薬剤情報は、正確に確認できる範囲で伝えます。
A:Assessment(観察・評価)
介護職は医学的な診断をするのではなく、観察した事実と、施設内で確認した情報を伝えます。「普段は会話が多い方ですが、今日は返答が少ない」などの具体的な変化が役立ちます。
R:Recommendation(相談・依頼)
「診察や受診の必要性についてご指示をお願いします」「今後、どのような変化があれば再連絡すべきでしょうか」など、判断してほしいことを明確にします。
医師への電話報告の例文
例1:発熱と食事量の低下
「〇〇施設の介護職△△です。Aさんについて、発熱と食事量低下があり、ご相談のため連絡しました。昨日夕方から食事が進まず、今朝は普段の約3割でした。本日10時の体温は38.0℃です。普段は会話が多い方ですが、今日は返答が少なめです。看護職にも共有しています。診察や受診の必要性についてご指示をお願いします」
これは報告の組み立て方を示す架空の例です。実際には意識・呼吸などの緊急性を先に確認し、施設の連絡手順に従ってください。
例2:転倒後の状態について相談
「〇〇施設の△△です。Bさんが14時ごろ居室で転倒しました。発見時は呼びかけに応じています。転倒時の状況は目撃されておらず、頭部を打ったかどうかは不明です。現在、看護職が状態を確認しています。受診の必要性と今後の観察についてご指示をお願いします」
転倒後は頭部打撲の可能性、意識の変化、出血や痛みなどに注意が必要です。重い症状がある場合や緊急性が疑われる場合は、通常の電話報告より救急対応を優先します。
例3:報告の途中で質問に答えられない
「その点はまだ確認できていません。看護職と確認して、改めてご連絡します。ほかに今すぐ確認すべき項目はありますか」と、分からないことを明確に伝えます。不明な情報を断定して伝えないことが重要です。
電話前に用意する短いメモ
緊急性が高くない場面では、電話前に次の順番で短くメモを作ると、話が前後しにくくなります。
- 要件:誰の、何についての相談か
- 開始:いつから変化があるか
- 変化:普段と比べて何が違うか
- 数値:測定した項目と時刻
- 対応:すでに行ったことと結果
- 相談:医師に何を確認したいか
「元気がない」とだけ書くより、「朝食は普段の半分、声かけへの返答が遅い」といった事実を記すほうが状況を共有しやすくなります。メモには個人情報が含まれるため、施設の情報管理ルールに従って取り扱いましょう。
医師からの指示は復唱し、記録・共有する
報告は、電話で話し終えたら完了ではありません。指示を受けた場合は、施設のルールに従って内容を復唱・確認し、必要な職員に共有します。
- 指示を受けた日時、医師名、連絡者
- 指示の具体的な内容と実施する担当者
- 再連絡や受診が必要になる条件
- 指示を共有した相手と時刻
- その後の利用者の状態と対応
薬の変更や医療行為について、介護職が独断で実施してはいけません。聞き取れない内容や曖昧な指示はその場で確認し、看護職・管理者と連携します。職員間の情報共有には介護の申し送りで伝える順番と例文も役立ちます。
医師への報告が苦手なときの対処法
緊張して言葉が出にくいときは、短いメモを見ながら話して構いません。事実を整理し、要件から伝えることを優先しましょう。
また、医師への直接連絡が介護職の担当か、看護職を経由するかは事業所によって異なります。平常時に連絡ルート、夜間の連絡先、救急要請の基準を確認しておくと、いざというときに迷いを減らせます。
報告後にうまく伝わらなかったと感じたら、責め合うのではなく「最初に伝えるべき情報は何だったか」「記録に不足はなかったか」をチームで振り返りましょう。連携の進め方は介護現場の多職種連携を円滑にする方法でも確認できます。
まとめ
医師への報告では、要件を先に伝え、症状が始まった時刻、普段との違い、観察した事実、相談したいことを順に整理するのが基本です。SBARや短いメモは、そのための道具として役立ちます。
ただし、緊急時は報告の形式より救急対応を優先します。指示を受けた後も、復唱・記録・申し送りまで確実につなげることが大切です。
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このQ&Aは、介護記録や報連相、多職種との連携をテーマにした内容の一つです。
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飲食・WEB・デザイン・出版など、様々な業界を経験し、今は日々利用者さんと向き合う現役のケアワーカー。介護にたどり着いたのは、大好きだった祖母の自宅介護がきっかけ。
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