同じ話を繰り返す…対応は?|“安心”と“傾聴”が鍵になる寄り添いコミュニケーション

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介護の現場では、「同じ話を何度も繰り返される」という場面がよくあります。
「昔はね、○○だったんだよ」「うちの子はね…」と何度も同じ内容が続くと、どう返すべきか迷ったり、対応に負担を感じることもあるでしょう。

しかし、同じ話を繰り返す行動は、単なる“記憶の問題”だけではなく、
「誰かに聞いてほしい」「安心したい」「つながりを感じたい」という気持ちが表れていることがあります。

この記事では、繰り返し話をされる場面でどのように向き合えば良いのか、
新人さんでも無理なく実践できるコミュニケーションのコツを詳しく解説します。

① 繰り返しの背景には“安心したい気持ち”が隠れていることがある

同じ話をする行為は、その人の不安を和らげたい気持ちや、
誰かに気持ちを受け止めてほしい思いが言葉として表れている場合があります。

よくある背景:

  • 寂しさ:人とのつながりを求めている
  • 話すことで安心したい:同じことを確認することで心を整えている
  • 記憶の混乱:話したこと自体を忘れている
  • 習慣化:「好きな話」や「得意な話」を繰り返してしまう
  • 生活リズムの乱れ:疲労や眠気で判断力が低下している

特に認知症のある方は、自分の話をしながら気持ちを落ち着かせることが多く、
繰り返しは“安心を得るための行動”と捉えると、対応の視点が変わります。

② 無理に話題を変えず、適度な相槌を打ちながら寄り添う

繰り返しの話に対して、「さっき聞きましたよ」「その話はもう分かっています」などと返すと、
本人は否定された気持ちになり、かえって不安が強まりやすくなります。

大切なのは、

● 無理に遮らず、適度に相槌を打ちながら寄り添う姿勢

です。

相槌の例:

  • 「そうだったんですね」
  • 「その話、大切にされているんですね」
  • 「当時は大変でしたね」
  • 「うれしかったんですね」

繰り返される話の“内容”よりも、
「あなたの話を受け止めていますよ」というメッセージが何よりも重要です。

③ 聞きながら「気持ち」を拾うように意識する

話の繰り返しが続くと、どうしても内容のほうに意識が向きがちですが、
実は見るべきポイントは“語られている感情”です。

たとえば、昔の家族の話を何度もする場合:

  • 「家族が好きだった気持ちを確かめたい」
  • 「一緒に過ごした記憶が安心につながっている」
  • 「寂しさを埋めている」

という心理が隠れていることもあります。

話の“背景の気持ち”を感じ取ると、寄り添い方が自然に変わり、
利用者さんの安心感も大きく高まります。

④ スタッフ側が疲れてきたら、自然な“場面転換”を提案する

どれだけ寄り添っていても、長く続くとスタッフが疲れてしまうことは当然です。
そんなときは、無理に聞き続ける必要はありません。

おすすめの“自然な場面転換”:

  • 「少しお茶にしましょうか?」
  • 「喉渇いていませんか?飲み物を持ってきますね」
  • 「一緒に窓の外を見てみましょうか」
  • 「そろそろお手洗いに行きましょうか?」

話題を無理に変えるのではなく、
自然な行動の流れで気持ちを切り替えることがポイントです。

本人にとってもストレスが少なく、
スタッフの負担も抑えられる方法です。

⑤ 話を繰り返す頻度が急に増えたときは“体調・環境”の変化に注意

突然繰り返しが増える場合、何らかの変化が起きている可能性があります。

チェックしたいポイント:

  • 睡眠不足(夜間不眠・昼夜逆転)
  • 便秘や腹部不快感
  • 脱水・食欲低下
  • 環境の変化(部屋替え・利用者の入退居など)
  • 新しいスタッフが担当して刺激が増えた
  • 認知症症状の進行

こうした変化が不安の高まりにつながり、
「話すことで落ち着こう」としているケースも多いです。

⑥ チームで共有すると、ケアの安定につながる

話の繰り返しが顕著な方については、
スタッフ全員が同じ理解を持つことが重要です。

共有したいポイント:

  • 繰り返して話すテーマ(家族・仕事・昔の記憶など)
  • その話をするときの表情や気分
  • 刺激になる声かけ・落ち着きやすい声かけ
  • 自然に場面転換できるタイミング

共有が進むほど、
「誰が対応しても安心できる関わり」ができるようになります。

まとめ:“繰り返し”は気持ちのサイン。安心と傾聴が何よりのケア

同じ話を繰り返す行動は、その人が置かれている状況や気持ちが映し出された大切なサインです。

① 「安心したい」「聞いてほしい」という思いが隠れている
② 無理に話題を変えず、適度に相槌を打って寄り添う
③ 話の背景にある“感情”を拾う
④ スタッフが疲れたら自然な場面転換を提案
⑤ 頻度が増えたときは体調や環境の変化に注意
⑥ チーム全体で対応方針を共有する

繰り返しの話を“問題行動”ではなく、
「安心を求めるサイン」として捉えるだけで、
利用者さんとの関係性が大きく変わります。

無理のない範囲で寄り添いながら、
あなた自身の負担も調整しつつ、自然体でコミュニケーションを続けていきましょう。

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