
※この記事は「レクリエーション・日常生活支援」に関する介護現場あるあるQ&Aの一つです。
訪問介護や施設で支援をしていると、
「部屋がかなり散らかっている」
「物が多くて動線が取りづらい」
と感じる場面に出会うことがあります。
転倒リスクや衛生面を考えると、
「早く片付けたほうがいいのでは」
と思ってしまいがちですが、
片付けは“安全支援”であると同時に、“心に踏み込む支援”でもあります。
関わり方を間違えると、
「勝手に触られた」
「大事なものを捨てられた」
と強い不信感につながってしまうことも少なくありません。
この記事では、部屋が散らかりがちな利用者さんへの支援について、
信頼関係を守りながら安全につなげる考え方と、現場で実践しやすい関わり方を詳しく解説します。
① 部屋の散らかりは「性格」ではなく背景がある
まず大切なのは、
部屋が散らかっている状態を、
「だらしない」
「片付けが苦手な人」
と単純に捉えないことです。
散らかりの背景には、
- 身体機能の低下で片付けが負担になっている
- 認知機能の変化で整理が難しくなっている
- 不安が強く、物を手放せない
- 生活歴や価値観として「物を大切にする」文化がある
など、さまざまな理由があります。
まずは「なぜこの状態なのか」を理解しようとする姿勢が、
支援の土台になります。
② 一気に片付けるのは逆効果になりやすい
安全のためとはいえ、
介助者の判断だけで一気に片付けてしまうと、
- 「勝手に捨てられた」という怒り
- 「ここは自分の居場所じゃない」という喪失感
- 支援そのものへの拒否
につながることがあります。
特に、物一つひとつに思い出や意味がある方にとって、
片付けは自分の人生を否定されたように感じる行為になる場合もあります。
安全確保は大切ですが、
信頼関係を壊してしまっては、その後の支援が難しくなります。
③ 基本は「一緒に」「少しずつ」
散らかりへの支援で大切なのは、
介護職が主導で片付けるのではなく、一緒に行うこと
です。
おすすめなのは、
- 「よく使うもの」
- 「たまに使うもの」
- 「今は使っていないもの」
と、利用者さんと会話しながら分けていく方法です。
この過程そのものが、
- 判断力の維持
- 会話のきっかけ
- 安心感の共有
につながります。
すべてを一度にやろうとせず、
今日はテーブルの上だけなど、範囲を絞るのがポイントです。
④ 「片付けなきゃ」ではなく目的を共有する
「片付けましょう」という言葉は、
利用者さんにとってプレッシャーになりやすい表現です。
代わりに、
- 「ここが空くと歩きやすくなりますね」
- 「これがあると転びやすそうですね」
- 「探しやすくなりそうですね」
といった目的を共有する声かけが有効です。
「安全」「使いやすさ」「快適さ」といった
本人にとってのメリットが伝わると、受け入れやすくなります。
⑤ 片付けを“レクリエーション”として捉える
片付けを「やらなければならない作業」にすると、
どうしても気が重くなります。
そこで視点を変えて、
片付け=一つのレクリエーション
と捉えてみましょう。
例えば、
- 昔の写真や物の思い出を話してもらう
- 「これはどんな時に使っていましたか?」と会話する
- 片付いた後に「すっきりしましたね」と達成感を共有する
こうした関わり方は、
単なる整理整頓以上の価値を生みます。
達成感を一緒に味わうことで、
次回の支援にも前向きになりやすくなります。
⑥ 安全面でどうしても外せないポイントは明確に
すべてを利用者さんの判断に委ねるのが難しい場面もあります。
特に、
- 転倒につながる床の物
- 火気周辺の可燃物
- 動線を完全に塞いでいる荷物
などは、命に関わるリスクです。
こうした部分は、
「ここだけは安全のために一緒に整理したい」
と理由を丁寧に伝え、
優先的に対応しましょう。
すべてを完璧にする必要はありません。
危険を減らすことが第一目的です。
⑦ 一人で抱えず、家族やケアマネとも共有する
散らかりが慢性的で、
介護職の関わりだけでは改善が難しい場合もあります。
その場合は、
- 家族への情報共有
- ケアマネジャーへの相談
- 環境整備や福祉用具の検討
など、多職種で支える視点が大切です。
「介護職が何とかしなければ」と抱え込まず、
チームとして関わることで、
利用者さんにとっても負担の少ない支援につながります。
まとめ:片付けは“信頼関係を守りながら進める支援”
部屋が散らかりがちな方への支援では、
① 背景を理解する
② 一気にやらず、少しずつ
③ 一緒に整理する姿勢を大切に
④ 目的を共有する声かけ
⑤ 達成感を一緒に味わう
⑥ 安全最優先のポイントを押さえる
⑦ チームで支える
この視点がとても重要です。
片付けは、単なる環境整備ではありません。
利用者さんの人生や価値観に触れる、
とても繊細な支援です。
信頼関係を大切にしながら、
安全で安心できる暮らしを一緒につくっていきましょう。
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