介護職の現場では、収入面の不安や将来への備えから、ダブルワーク(掛け持ち勤務)を選択している方も少なくありません。
「今は若いから大丈夫」「少し無理すれば何とかなる」と思って始めたものの、
- 疲れが抜けなくなってきた
- 睡眠時間が削られている
- 集中力が落ちてミスが増えた気がする
と感じ始めている場合、それは体と心からの“見直しサイン”かもしれません。
この記事では、ダブルワークがきつくなってきたと感じたときに立ち止まって考えたいポイントと、
無理なく働き続けるための見直し方について、現場目線で詳しく解説します。
① ダブルワークがきつくなるのは「甘え」ではなく自然なこと
まず大前提として、ダブルワークがきつくなるのは珍しいことではありません。
介護の仕事は、身体的にも精神的にも負担が大きく、
- 移乗・入浴などの身体介助
- 夜勤による生活リズムの乱れ
- 人間関係や感情労働
といった負荷が積み重なります。
そこに別の仕事が加わると、
回復の時間が足りなくなるのはごく自然なことです。
「自分の体力が落ちたのでは」「根性が足りないのでは」と責める必要はありません。
まずは、現状を冷静に見つめ直すことが大切です。
② 収入と引き換えに「睡眠」と「集中力」を削っていないか
ダブルワークを続けるうえで、特に注意したいのが睡眠不足です。
よくある状態:
- 寝る時間が毎日バラバラ
- 6時間未満の睡眠が続いている
- 休みの日も疲れて寝て終わる
睡眠が不足すると、
- 判断力の低下
- 注意力の散漫
- 感情コントロールの難しさ
が起こりやすくなり、介護現場では事故やヒヤリハットのリスクが高まります。
収入を得るために働いているはずが、
その働き方によって安全性が下がってしまっては、本末転倒です。
③ 「週に何回までなら無理なく働けるか」を数字で考える
ダブルワークを見直す際に有効なのが、
感覚ではなく数字で整理することです。
一度、以下を書き出してみましょう。
- 本業の勤務日数・勤務時間
- 副業の勤務日数・勤務時間
- 通勤時間
- 睡眠時間
そのうえで、
「週に何回までなら、睡眠と回復が確保できるか」
を冷静に計算してみてください。
「毎週○回はきつい」「連勤になると一気にしんどくなる」など、
自分の限界が見えてくるはずです。
④ シフトの組み方を変えるだけで楽になることもある
必ずしも「すぐにダブルワークをやめる」必要はありません。
まずは、シフトの入れ方を見直すだけで改善するケースも多くあります。
見直しの例:
- 連勤にならないように間に休みを入れる
- 夜勤と副業を同じ日に入れない
- 副業の勤務時間を短くする
- 月ごとに勤務量を調整する
「働く日数」よりも、
「回復できる配置かどうか」が重要なポイントです。
⑤ 体がきつい状態で働き続けるリスクを軽視しない
「もう少し頑張れば慣れるかも」と思って無理を続けると、
次のようなリスクが高まります。
- 慢性的な腰痛・肩こり
- 睡眠障害
- メンタル不調
- 仕事への意欲低下
- 突然の離職
特に介護職は、体を壊してしまうと働き続けること自体が難しくなる仕事です。
「今は何とか動けている」ではなく、
「半年後・一年後も続けられるか」という視点で考えることが重要です。
⑥ 働き方や職場選びそのものを見直すタイミングかもしれない
ダブルワークをしている理由が、
- 収入が足りない
- 今の職場では生活が成り立たない
という場合、
働き方そのものを見直すタイミングに来ている可能性もあります。
例えば、
- 条件の良い職場へ転職する
- 夜勤回数を増やして一本化する
- 資格取得で収入アップを目指す
など、掛け持ちを前提にしない働き方を検討することも、
長期的には体と生活を守る選択になります。
⑦ 「見直すこと」は後退ではなく、続けるための判断
ダブルワークを減らしたり、やめたりすることに対して、
「負けた気がする」「頑張りが足りない」と感じる必要はありません。
むしろ、
長く、安全に働き続けるために必要な判断ができている
ということです。
自分の体調や生活を守ることは、
利用者さんの安全やケアの質を守ることにもつながります。
まとめ:ダブルワークは“続けられる形”に整えてこそ意味がある
ダブルワークがきつくなってきたと感じたら、
それは立ち止まって見直すタイミングです。
① きつくなるのは自然なこと
② 睡眠不足とミスリスクを軽視しない
③ 働ける回数を数字で把握する
④ シフトの組み方を見直す
⑤ 無理を続けるリスクを理解する
⑥ 働き方や職場選びそのものも検討する
⑦ 見直すことは前向きな判断
頑張り続けるためには、
「頑張りすぎない選択」も必要です。
今の働き方が自分に合っているかを見直しながら、
無理なく続けられる形を整えていきましょう。
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飲食・WEB・デザイン・出版など、様々な業界を経てきた現役のケアワーカー。介護にたどり着いたのは、大好きだった祖母の自宅介護がきっかけ。ケアチルでは、現場での視点も交えつつ、これから介護業界に携わろうとしている方、すでに業界にいて岐路に立っている方に向けて、介護業界の情報を分かりやすくお届けします。




