介護の現場では、利用者の体調急変や転倒、誤嚥など、突然の緊急対応が発生することがあります。
新人スタッフの多くが悩むのが、「対応後に何をすればいいかわからなくなる」「どこから手をつけていいかわからない」という点です。
緊急場面は誰でも焦りやすく、予定していた業務が大きく乱れます。しかし、立て直しの“型”を持っておくことで、冷静に行動できるようになります。
この記事では、緊急対応が落ち着いた後の優先順位の立て直し方・チームでのフォロー体形・業務漏れ防止の工夫を具体的に紹介します。
① 緊急時は「命に関わる内容」を最優先でOK
緊急対応では、予定していた業務より命に関わる内容を優先するのが最重要です。
そのため、一時的に予定していた業務がストップしても問題ありません。
新人はつい「この後の配膳どうしよう…」「あの方の誘導がまだ…」など、止めている業務が気になって焦ってしまいがちです。
しかし、緊急対応中に目の前の業務を気にする必要はありません。
命>安全>その他の業務
この順番でOKです。
まずは状況を落ち着かせ、必要な処置・報告・観察を優先してください。
② 終了後は「何を中断したか」をチームで共有する
緊急対応が終わり、現場が落ち着いてくると、「さて、次は何をすれば…?」と混乱しやすくなります。
そんな時に有効なのが、“中断した業務を共有する”ことです。
例:
- 「△△さんのトイレ誘導を中断しています」
- 「飲み物配りが途中です」
- 「□□さんのバイタル記録がまだです」
この一言があるだけで、周囲のスタッフがフォローしやすくなり、業務がスムーズに戻ります。
逆に、共有がないと、
- 同じ仕事が重複して行われる
- 誰も対応していない業務が抜ける
- 全員が状況を誤解する
という混乱につながります。
緊急対応後の立て直しは、一人で抱え込まず、チームでの「情報公開」が鍵です。
③ 落ち着いた後に「抜けた業務」をメモする
緊急対応後は頭の中が混乱している状態です。
そのまま動き出すと、どうしても業務漏れが発生しやすくなります。
そのため、深呼吸して気持ちを整えたら、一度手を止めて“今やるべきこと”をメモに書き出すのがおすすめです。
書き方の例:
- □ 〇〇さんのバイタル記録
- □ △△さんの飲水を再確認
- □ 夕食後の口腔ケア(中断)
- □ 移乗の声かけがまだ
頭の中だけで整理しようとすると漏れが出るため、必ず目に見える形にすることがポイントです。
書き出したら、「重要度→緊急度」で順番を決めると、無理なく再開できます。
④ チームの協力を前提にすると立て直しが楽になる
緊急対応は一人が抱えるものではありません。
むしろ、チーム全体で補い合って立て直すことが大前提です。
緊急時は、役割が自然と次のように分かれます:
- 状況を落ち着かせる担当
- 他の利用者をフォローする担当
- 記録・報告を先に行う担当
新人のうちは、自分一人で全て対応しようとせず、今は何を優先すべきか、どこをフォローしてほしいかを素直に伝えて大丈夫です。
チームで分担することで、緊急後の現場を短時間で元の流れに戻すことができます。
⑤ 心身を整える「小さなリセット」を挟むとミスが減る
緊急対応後は、アドレナリンが出て一時的に集中力が上がりますが、反動で判断力が落ちやすい状態でもあります。
そのため、落ち着いたら以下のような“小さなリセット”を挟むのがおすすめです。
- 深呼吸を3回する
- 水を一口飲む
- 記録を少しだけ整理する
これだけで思考がクリアになり、後の業務も落ち着いて行えるようになります。
まとめ:緊急後は「共有・整理・優先順位」で立て直す
緊急対応は突然訪れ、予定していた業務の流れを大きく乱します。
しかし、次の3つを意識すれば、確実に立て直しができます。
① 命の優先で動く(他の業務は一時停止でOK)
② 中断した内容を共有し、チームでフォロー
③ 落ち着いたあとにメモで業務を再整理
緊急対応は経験を積むほど冷静さが増し、動きも安定していきます。
チームで助け合いながら、少しずつ“立て直す力”を育てていきましょう。
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飲食・WEB・デザイン・出版など、様々な業界を経てきた現役のケアワーカー。介護にたどり着いたのは、大好きだった祖母の自宅介護がきっかけ。ケアチルでは、現場での視点も交えつつ、これから介護業界に携わろうとしている方、すでに業界にいて岐路に立っている方に向けて、介護業界の情報を分かりやすくお届けします。