介護現場では、「〇〇してほしい」「手伝って」「〇号室に来て」など、利用者から複数の頼まれごとが同時に届くことがよくあります。
さらに、スタッフ同士の依頼やナースコールも重なるため、「どれから優先すればいいの?」と混乱してしまうのは自然なことです。
しかし、優先順位の“基準”さえ持っていれば、焦らず落ち着いて判断することができます。
この記事では、複数の頼まれごとを受けたときの優先順位の決め方・声かけの工夫・メモによる漏れ防止を、現場の視点から具体的に解説します。
① 「安全」「排泄」「食事・服薬」を最優先にする
頼まれごとの優先順位で迷ったときは、まず命や健康に直結する内容を上位に置くことが基本です。
最優先すべき3つは次の通り:
- ① 安全(転倒リスク・体調悪化・危険行動)
- ② 排泄(急ぎ・我慢による事故の防止)
- ③ 食事・服薬(決まった時間に行う必要がある)
この3つは、遅れることで利用者の安全や健康に影響が出る可能性が高いため、優先度が最も高い項目です。
たとえば、
- 「コップを取ってほしい」よりも、排泄の訴えが優先
- 「テレビをつけて」よりも、食事の見守りが優先
- 「部屋に来て」よりも、ふらつきの見守りが優先
この基準を頭に入れておくだけで、焦りが大きく減り、判断が安定します。
② 緊急性の低い内容は「〇分後に伺います」と伝える
すべてを「すぐ対応しなきゃ」と考えると、動きがバタバタしてしまい、結果的にミスや漏れが増えます。
そこで有効なのが、緊急性の低い依頼には“目安時間を伝える”ことです。
例:
- 「あと5分で伺いますね」
- 「今対応中なので、この後向かいますね」
- 「先に〇〇さんの排泄を見てから伺いますね」
このように伝えておくと、利用者も「今すぐじゃなくてもいいんだな」と理解してくれやすくなり、不要な焦りを減らせます。
また、約束した時間を守ることで、利用者との信頼関係も安定します。
③ 頼まれた内容は、短いメモに残しておく
複数の依頼が重なると、どれかが頭から抜け落ちるリスクが高まります。
そのため、頼まれた内容をその場で短くメモすることが非常に効果的です。
メモの例:
- □ Aさん:テレビ操作
- □ Bさん:飲水提供
- □ Cさん:自室に訪室
- □ Dさん:部屋の換気
メモにすることで、・優先順位を後から整理し直しやすい
・漏れのチェックが簡単
・急な割り込みがあっても対応しやすい
というメリットがあります。
新人のうちは、「とにかく書いておく」習慣をつけると、業務の安定度が大きく変わります。
④ 優先順位の判断が難しいときは、チームに相談する
優先度を判断しづらいケースは、誰にでもあります。
そんな時は、無理に自分だけで決めず、近くのスタッフに短く相談するのが正解です。
例:
- 「〇〇さんの排泄と△△さんの見守り、どちらを先に対応します?」
- 「今Aさんに呼ばれていますが、Bさんがふらつき気味です」
たった一言の相談で、優先順位はすぐに整理されます。
また、相談の回数を重ねることで、徐々に自分で判断できる経験値も育っていきます。
⑤ 同時に頼まれやすいケース“あるある”を把握する
特に新人の時は、状況のパターンを知っておくと判断がスムーズになります。
よくあるパターン:
- 食事前後は飲水・席移動・ナプキン交換の依頼が重なる
- トイレラッシュで排泄が一気に重なる
- 夜間は不安が強く、呼ばれる回数が増える
- 入浴日は物品準備や誘導依頼が続く
パターンを知ることで、「今は何が優先されやすい時間帯か」を把握しやすくなり、動きに余裕が生まれます。
⑥ 最後は「安全>健康>快適」の順で判断すれば間違えない
どんなに複雑な状況でも、最終的には以下の基準で判断すれば大きなミスは避けられます。
① 安全(転倒・急変・危険)
② 健康(排泄・食事・服薬)
③ 快適(環境調整・個人的な要望)
この3段階で考えれば、判断の軸がブレず、落ち着いて対応できます。
まとめ:優先度の“軸”を持てば焦らず動ける
複数の頼まれごとが重なると焦りやすいですが、
優先順位の基準を持つ・声かけで時間調整する・メモで漏れを防ぐ
これらを意識するだけで、動きが格段に安定します。
① 安全・排泄・食事(服薬)が最優先
② 緊急性が低い依頼には時間目安を伝える
③ 頼まれた内容はメモで残す
この3つを実践すれば、複数の依頼が来た場面でも焦らず対応できるようになります。
経験を積むほど判断力は洗練されていくので、焦らずゆっくり、自信をつけていきましょう。
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飲食・WEB・デザイン・出版など、様々な業界を経てきた現役のケアワーカー。介護にたどり着いたのは、大好きだった祖母の自宅介護がきっかけ。ケアチルでは、現場での視点も交えつつ、これから介護業界に携わろうとしている方、すでに業界にいて岐路に立っている方に向けて、介護業界の情報を分かりやすくお届けします。