訪問介護や施設介護の現場では、家族から
- 介護以外の生活相談
- 制度やお金の話
- 将来の不安や愚痴
など、さまざまな相談を受けることがあります。
「頼ってもらえるのはありがたい」「信頼されている証拠だ」と感じる一方で、
対応しきれずに負担を感じている介護職の方も多いのではないでしょうか。
家族対応を一人で抱え込みすぎると、業務時間を超えた負担や、
責任の所在があいまいになるリスクも生まれます。
この記事では、家族からの相談にどう向き合い、
信頼関係を壊さずに適切な線引きをする方法について、
現場目線で詳しく解説します。
① 家族から相談されやすいのは「信頼されている証」でもある
まず前提として、家族から何でも相談されるのは、
あなたの対応が丁寧で、話しやすい存在だと感じられている
ということでもあります。
特に介護の現場では、
- 一番利用者さんの近くで関わっている
- 小さな変化にも気づいてくれる
- 日常的に顔を合わせる
といった理由から、介護職員に相談が集中しやすくなります。
「相談される=悪いこと」ではありません。
しかし、そのすべてを一人で引き受ける必要はないという点が重要です。
② 相談が負担になるのは「業務範囲を超えている」サイン
家族対応がつらく感じ始めたら、
それは相談内容が業務範囲を超え始めているサインかもしれません。
よくあるケース:
- 制度や契約内容の判断を求められる
- 他職種への不満を延々と聞かされる
- 私的な時間にも連絡が来る
- 「あなたにしか言えない」と責任を押し付けられる
こうした対応を続けていると、
- 心理的な負担が大きくなる
- トラブル時に責任を一人で背負う
- 本来のケア業務に集中できなくなる
といったリスクが高まります。
③ 線引きの基本は「窓口を整理する」こと
家族対応で大切なのは、
相談を断つことではなく、適切な窓口につなぐことです。
対応が難しい内容や判断が必要な相談は、
「担当ケアマネジャーにも共有しますね」
と一言添えるだけで、線引きがしやすくなります。
伝え方の例:
- 「その件はケアマネジャーが詳しいので共有しますね」
- 「私の判断ではお答えできないので、事業所に伝えます」
- 「一度、担当者会議で話してもらうと安心ですね」
このように伝えることで、
- 無責任に見えない
- 一人で抱え込まなくて済む
- 正式な対応につなげられる
というメリットがあります。
④ 「その場で全部答えない」姿勢を持っていい
家族から質問されると、
「すぐ答えなきゃ」「期待に応えなきゃ」と思ってしまいがちですが、
その場で完結させる必要はありません。
判断が必要な内容や、責任が伴う相談については、
- 「確認してからお返事します」
- 「一度持ち帰らせてください」
と伝えて問題ありません。
むしろ、曖昧なまま答えてしまう方が、
後からトラブルになる可能性が高くなります。
⑤ 家族対応は「個人プレー」ではなく「チーム対応」
家族支援は、本来事業所全体で行うものです。
一人のヘルパーや職員が、
- 相談窓口
- 調整役
- 感情の受け皿
すべてを担う必要はありません。
「自分がいないと困るのでは」と感じるかもしれませんが、
属人化した対応は、あなた自身を苦しめるだけでなく、
引き継ぎやトラブル対応を難しくします。
情報は必ず共有し、
チームで支える形を意識しましょう。
⑥ 線引きは「冷たさ」ではなく「専門性」
線引きをすると、
- 冷たいと思われるのでは
- 信頼を失うのでは
と不安になる方もいます。
しかし実際には、
役割を明確にすることは、専門職として誠実な対応
です。
できること・できないことをはっきりさせ、
適切な人につなぐ姿勢は、
結果的に家族の安心感にもつながります。
⑦ 抱え込みすぎていると感じたら、まず職場に相談する
家族対応がつらくなってきたと感じたら、
一人で我慢せず、早めに上長や責任者に相談しましょう。
相談時のポイント:
- どんな相談が多いか
- どこが負担になっているか
- 対応に迷っている内容
を具体的に伝えることで、
役割分担や対応ルールを見直すきっかけになります。
まとめ:家族対応は「一人で背負わない」が正解
家族から何でも相談されてしまう状況は、
あなたが信頼されている証でもあります。
しかし、その信頼を守るためにも、
適切な線引きと共有が欠かせません。
① 相談されやすいのは信頼の証
② 負担を感じたら業務範囲超過のサイン
③ 窓口を整理して案内する
④ その場で答えきらなくていい
⑤ 家族対応はチームで行う
⑥ 線引きは専門性の一部
⑦ 抱え込まず職場に相談する
一人で背負わず、
事業所全体で家族と向き合う体制を整えることが、
結果的にあなた自身を守り、より良い支援につながります。
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