訪問介護の現場では、「家が狭くて動きづらい」「介助するスペースが足りない」と感じる場面は少なくありません。
特に一人暮らしや高齢世帯の住まいでは、長年の生活で物が増え、介助を前提としない環境になっているケースも多く見られます。
狭い動線のまま無理に介助を続けると、
- 利用者さんの転倒リスクが高まる
- 介助者自身の腰や膝に負担がかかる
- 焦りから事故につながりやすくなる
といった危険があります。
この記事では、狭い住環境でも安全に介助を行うために、
現場で意識したい工夫と、一人で抱え込まないための相談ポイントを詳しく解説します。
① 狭さの原因は「家具」と「足元」にあることが多い
まず確認したいのは、
本当に家そのものが狭いのかという点です。
実際には、
- 使っていない家具が通路をふさいでいる
- 床に物が置かれたままになっている
- コード類やカーペットが引っかかりやすい
といった要因が、動線を狭めているケースが少なくありません。
特に、ベッド周り・トイレまでの通路・玄関付近は、
転倒やつまずきが起こりやすいポイントです。
② まずは「危険なポイント」を見える化する
狭い家での介助を改善する第一歩は、
どこが危険なのかを明確にすることです。
例えば、
- 立ち上がり時にぶつかりやすい家具
- 方向転換が難しい場所
- 夜間に見えにくい段差や物
これらを、利用者さんや家族と一緒に確認することで、
「なぜ危ないのか」を共有しやすくなります。
介護職が一方的に指摘するのではなく、
「安全のために一緒に見直しましょう」という姿勢が大切です。
③ 可能な範囲で動線を確保してもらう
すべてを一気に片付けるのが難しい場合でも、
介助に必要な最低限の動線を確保できるだけで、安全性は大きく向上します。
優先したいポイント:
- ベッドからトイレまでの通路
- 立ち上がり・移乗を行うスペース
- 夜間に必ず通る動線
「ここだけは空けておきたい」という場所を絞って伝えることで、
家族にも協力してもらいやすくなります。
無理に完璧を求めず、
できる範囲での改善を積み重ねていくことが現実的です。
④ 介助方法を「環境に合わせて変える」意識を持つ
スペースが限られている場合、
施設と同じ介助方法をそのまま当てはめるのは危険です。
例えば、
- 立位介助が難しい場合は座位中心にする
- 一度に動かそうとせず動作を分ける
- 無理な体勢になる介助は避ける
「いつもこうしているから」ではなく、
その家、その空間に合った方法を選ぶことが重要です。
介助者自身の体を守ることも、
長く支援を続けるためには欠かせません。
⑤ 自分一人で改善しようとしない
狭い家での介助に悩んでいると、
「自分の工夫が足りないのでは」と感じてしまう方もいます。
しかし、住環境の問題は、
介護職一人で解決できるものではありません。
特に、
- 家具の移動が必要
- 福祉用具の導入を検討したい
- 住宅改修が必要そう
と感じた場合は、早めに共有することが大切です。
⑥ ケアマネジャーへの相談は重要な選択肢
環境整備が必要だと感じたら、
ケアマネジャーに相談することをためらう必要はありません。
ケアマネジャーが関わることで、
- 福祉用具の導入
- 住宅改修の検討
- サービス内容や時間の調整
といった選択肢が広がります。
現場で感じている「やりづらさ」や「危険」を具体的に伝えることが、
環境改善への第一歩になります。
⑦ 狭い環境ほど「安全優先」で判断していい
動線が確保できない状況で、
無理に介助を行うことは事故のリスクを高めます。
「予定通りにやらなければ」と思うよりも、
「この環境で安全にできるか」
を基準に判断することが大切です。
必要であれば、
サービス内容の変更や中断を相談することも、
専門職として正しい判断です。
まとめ:狭い家での介助は「環境・共有・相談」がカギ
狭い住環境での介助は、
介護職にとって大きな負担になりやすいテーマです。
① 家具や足元の危険を確認する
② 危険ポイントを家族と共有する
③ 最低限の動線を確保する
④ 環境に合わせた介助方法を選ぶ
⑤ 一人で抱え込まない
⑥ ケアマネジャーに相談する
⑦ 安全を最優先に判断する
完璧を目指す必要はありません。
少しずつでも環境を整え、安全な支援につなげていくことが、
利用者さんと介護職、双方を守ることにつながります。
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飲食・WEB・デザイン・出版など、様々な業界を経てきた現役のケアワーカー。介護にたどり着いたのは、大好きだった祖母の自宅介護がきっかけ。ケアチルでは、現場での視点も交えつつ、これから介護業界に携わろうとしている方、すでに業界にいて岐路に立っている方に向けて、介護業界の情報を分かりやすくお届けします。




