清拭が時間通りに終わらない…?|負担を減らし、スムーズに進めるための段取りと関わり方

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清拭は利用者さんにとってもスタッフにとっても負担が大きく、「時間どおりに終わらない」「途中でバタバタしてしまう」「準備が足りず戻る動作が多い」などの悩みがよくあります。
特に新人さんは、清拭の順番・声かけ・物品準備に慣れていないため、時間配分に苦戦することも少なくありません。

清拭をスムーズに進めるコツは、段取り・範囲の分割・利用者さんの状態観察の3つです。
清拭そのものを“手早くする”のではなく、「準備を整え、流れを簡潔にする」ことで結果的に時間が短縮されます。

この記事では、清拭が時間通りに終わらない原因と、その改善策を現場目線でくわしく解説します。

① 清拭前の準備を決めておくと、流れが一気にスムーズになる

清拭が滞る原因の多くは、実は“途中で準備をしに行く回数が多いこと”です。
物品が揃っていなかったり、タオルの数が足りないと、その都度立ち回る必要があり、時間も体力も消耗します。

そのため、清拭前にセット化された準備を行うことがとても重要です。

● 清拭前に準備しておきたいもの

  • 清拭用タオル(複数枚)
  • お湯を入れたバケツまたは保温ポット
  • 洗面器または清拭ボウル
  • 掛け物(タオルケット・バスタオル)
  • 着替え(必要時)
  • 手袋・防水シーツ

これらを事前にひとまとめにしておくと、清拭がひとつの流れで途切れずに進むようになります。
準備の質が高まると、清拭時間は自然と短くまとまります。

② “全部きれいにしよう”としない。分割すると負担が圧倒的に軽くなる

清拭は「身体を全部きれいにするケア」というイメージが強いですが、利用者さんの体調や時間帯によっては分割して行うことが現実的です。

特に、

  • 清拭嫌いな利用者さん
  • 疲れやすい方
  • 認知症で不安が強い方

に対しては、一度に全身を行うと途中で拒否や疲労が強まり、時間がかかる原因になります。

そこで有効なのが、以下のような“分割清拭”です。

● 分割清拭の例

  • 今日は上半身+腕
  • 次回は背中と腹部
  • 別日で下半身・足

このように範囲を分けることで、利用者さんの負担も減り、介助者の動きも整理されるため、清拭が落ちついてスムーズに進みます。

③ 清拭の順番を“固定化”すると迷わない

清拭の時間が長引く理由の一つに、「どこから拭けばいいのか毎回迷う」という問題があります。

清拭は、順番を固定すると一気に効率が上がります。

例としては、

  • ① 顔
  • ② 首
  • ③ 上半身(胸→腹→脇)
  • ④ 腕
  • ⑤ 背中
  • ⑥ 下半身(太もも→膝→すね)
  • ⑦ 足

固定の“型”ができると、毎回の迷いが消え、利用者さんにも説明しやすくなります。

④ 声かけのタイミングだけで、清拭のスムーズさは大きく変わる

清拭は身体が大きく動くケアではないものの、肌を露出する・冷たさを感じるという不安も伴います。
そのため、利用者さんの理解と安心感を得るためには“こまかい声かけ”が欠かせません。

声かけ例:

  • 「今から腕を拭きますね」
  • 「少し冷たいかもしれません。すぐ温めますね」
  • 「次は反対側です」
  • 「疲れたら言ってくださいね」

声かけをしてから動作に入ることで、不安が軽減され、協力が得られやすくなります。

⑤ 清拭嫌いの利用者さんには“短時間でできる工夫”を入れる

清拭を嫌がる背景には、

  • 寒い
  • 恥ずかしい
  • 疲れる
  • 痛みがある

などの理由が多いです。

そのため、以下のような工夫が効果的です。

  • 掛け物をめくる範囲を必要最小限にする
  • 拭かない部位はすぐにタオルを掛けて保温
  • 濡れタオルを使わずホットタオルを使用
  • 痛みが出やすい関節は優しく丁寧に

これだけで清拭の負担は大幅に減り、結果として時間内に終わりやすくなります。

⑥ 利用者さんの体調や疲労を観察しながら“無理のない範囲”で進める

清拭のペースは、利用者さんのその日の状態や疲労によって大きく変わります。

観察すべきポイント:

  • 表情の変化(つらそう・疲れが出ている)
  • 呼吸の変化(早くなっていないか)
  • 痛みを訴えていないか
  • 途中で眠気や倦怠感が出ていないか

これらがある場合は、清拭を無理に続行せず、別日に回す・範囲を小さくするなどの調整が必要です。

清拭は“完全に終わらせること”より、利用者さんが安心して受けられることが最優先です。

まとめ:清拭は“段取り・分割・観察”で驚くほどスムーズになる

清拭が時間通りに終わらないときは、やみくもにスピードを上げるよりも、段取りを整え、範囲を明確にし、利用者さんに合わせて調整することが成功のポイントです。

① 清拭前に必要物品をセット化して準備
② 一度に全部やろうとせず、分割清拭で負担を軽減
③ 清拭の順番を固定化する
④ 声かけを細かく行い安心感を作る
⑤ 短時間でできる工夫を入れて寒さ・不安を軽減
⑥ 利用者さんの体調を見ながら無理なく進める

この6つを意識するだけで、清拭は格段にスムーズに進むようになり、利用者さんにとっても介助者にとっても負担の少ない時間になります。
焦らず、作業を“整える”意識で取り組むことが、結果的に時間短縮につながります。

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