介護職は人手不足の現場が多く、「辞めにくい」と感じる人も少なくありません。
しかし、どんな職場であっても退職は正当な権利であり、伝え方と進め方次第で円満に辞めることができます。
この記事では、介護職がスムーズに退職するための伝え方・時期・引き継ぎマナーを、具体的な流れで紹介します。
介護職の退職で大切なのは「誠実さ」と「計画性」
介護現場ではチームで利用者を支えているため、急な退職は他の職員に負担がかかります。
だからこそ、退職の際には誠実な態度と余裕を持ったスケジュールが重要です。
円満に辞めることは、後々の転職活動にもプラスに働きます。
退職の伝え方とタイミング
① 退職の意思は「1〜2ヶ月前」に伝える
法律上は退職の2週間前の申し出で辞められますが、介護現場では最低でも1〜2ヶ月前に伝えるのがマナーです。
利用者や同僚のことを考慮し、引き継ぎの時間を十分に確保しましょう。
② まずは直属の上司に相談
退職の相談は、必ず直属の上司(リーダー・施設長など)から始めます。
同僚や他部署の人に先に話すのは避けましょう。
最初に伝えるタイミングは、落ち着いて話ができる時間帯(勤務終了後など)を選ぶのが理想です。
伝え方の例:
「〇月末で退職を考えております。これまでお世話になりましたが、次のステップを考えています。」
③ 退職理由は「前向きな表現」で伝える
人間関係や待遇などが理由でも、ネガティブな言葉は避けましょう。
介護業界は狭いため、噂が広まることもあります。
「スキルアップ」「家庭の事情」「新しい環境で経験を積みたい」といった前向きな表現に言い換えるのがポイントです。
悪い例:「人間関係が悪くてもう限界です」
良い例:「自分の成長のために、別の環境でも経験を積みたいと考えています」
退職までの基本的な流れ
- ① 上司へ退職の相談・意思表示
- ② 退職日・引き継ぎ内容を確認
- ③ 利用者・職員への報告
- ④ 引き継ぎ書の作成・業務整理
- ⑤ 退職手続き・最終出勤日
この順序で進めれば、現場に混乱を与えることなくスムーズに退職できます。
引き継ぎをスムーズに行うコツ
① 業務内容をリスト化する
自分が担当している仕事を細かく書き出し、誰が・どのタイミングで・どんな内容を担当しているかを整理します。
口頭だけでなく、メモやファイルにまとめておくと安心です。
② 利用者ごとの情報を正確に共有
介護職では、利用者一人ひとりの生活リズムや性格、注意点が重要です。
引き継ぎの際は、利用者名・対応方法・家族との連絡事項などをしっかり共有しましょう。
③ 新担当者と一緒に現場に入る
可能であれば、新しく担当する職員と一緒に業務に入り、
現場で実際に説明する「同行引き継ぎ」を行うとスムーズです。
この一手間で、後任者の不安を減らせます。
④ 感謝の気持ちを伝える
引き継ぎの最後には、周囲の職員に感謝の言葉を伝えましょう。
「これまで支えていただきありがとうございました」など、
一言添えるだけで印象が大きく変わります。
退職届の書き方と提出のポイント
上司との話し合いで退職日が確定したら、正式に退職届を提出します。
- 提出タイミング: 退職日が決定してから1〜2週間以内
- 書き方: 手書きまたは印刷どちらでも可。黒のボールペンで丁寧に記入。
- 文面例:
「私事、このたび一身上の都合により、令和〇年〇月〇日をもって退職いたします。
これまでのご指導に深く感謝申し上げます。」
介護業界では「退職願」と「退職届」を混同しがちですが、
前者は“申し出”、後者は“確定通知”です。話し合いの後に提出するのが正しい流れです。
退職後のトラブルを防ぐために気をつけること
- ① 退職日を必ず書面で確認
口頭だけで済ませず、退職日が記載された書類をもらう。 - ② 私物・鍵・制服の返却
忘れがちな小物類もすべて返却しておく。 - ③ 有給休暇の消化を早めに相談
介護現場では繁忙期を避ける配慮が大切。
特に有給消化については、早めにスケジュールを立てることでトラブルを防げます。
退職時の「やってはいけない」NG行動
- 同僚に先に辞める話をして噂になる
- 引き継ぎをせずに突然辞める
- 不満をSNSや口コミで発信する
介護業界は地域・法人間のつながりが強いため、悪い印象は次の転職先にも影響します。
誠実な対応を心がけ、最後までプロ意識を持って行動しましょう。
まとめ:介護職の退職は“次の一歩”の始まり
退職はネガティブなことではなく、新しいスタートを切るための前向きな決断です。
きちんと準備と引き継ぎを行えば、職場にも利用者にも感謝されて円満退職が可能です。
これまでの経験を活かし、次のステージでより自分らしく働けるように、
「感謝・誠実・準備」を意識して最後の日まで丁寧に過ごしましょう。

飲食・WEB・デザイン・出版など、様々な業界を経てきた現役のケアワーカー。介護にたどり着いたのは、大好きだった祖母の自宅介護がきっかけ。ケアチルでは、現場での視点も交えつつ、これから介護業界に携わろうとしている方、すでに業界にいて岐路に立っている方に向けて、介護業界の情報を分かりやすくお届けします。