「介護の仕事に興味があるけれど、資格がないと働けないのでは?」
そんな不安を持つ方は少なくありません。
実際のところ、介護職は無資格・未経験からでもスタート可能な職種です。
この記事では、介護職に必要な資格の種類と、未経験からのステップアップ方法をわかりやすく解説します。
介護の仕事は“資格がなくても始められる”
まず知っておきたいのは、介護職は資格がなくても働ける職場が多いということ。
特別養護老人ホームやデイサービスなどでは、入職後に資格を取る人も少なくありません。
ただし、資格の有無によって仕事内容・給与・キャリアの幅が変わります。
長く働くほど「資格を取っておけばよかった」と感じる人も多いため、将来的な取得を視野に入れるのがおすすめです。
無資格でも働ける介護職の仕事内容
資格がない段階でできる主な仕事は、以下の通りです。
- 食事の配膳・片付け
- 居室の清掃・洗濯
- レクリエーションの準備
- 介助スタッフの補助
利用者の体に直接触れる“身体介助”は、原則として資格者が担当します。
無資格者は生活支援や補助業務を中心に経験を積みながら、徐々に資格取得を目指す流れです。
介護職でステップアップできる主要資格
ここでは、介護職でキャリアアップしていくために必要な資格を、取得順に紹介します。
① 介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)
介護職の入門資格であり、最初に取得する人が最も多い資格です。
130時間のカリキュラムで、介護技術や安全な介助方法、認知症ケアなどを学びます。
修了すれば、利用者の身体介助(入浴・食事・排泄など)が可能になります。
取得期間: 約1〜2ヶ月(通信+通学)
費用の目安: 約5〜10万円(自治体助成あり)
② 介護職員実務者研修
介護福祉士の受験資格にもなる、中級レベルの資格です。
より専門的な介護知識と医療的ケア(喀痰吸引・経管栄養など)を学びます。
管理職やサービス提供責任者を目指すなら、早めに取得しておくと有利です。
取得期間: 約6ヶ月(通信+スクーリング)
費用の目安: 約10〜20万円(初任者研修修了者は一部免除あり)
③ 介護福祉士(国家資格)
介護職の中で唯一の国家資格。
知識・技術・倫理観を総合的に問われるため、信頼性が高く、給与面でも優遇されます。
国家試験合格者はリーダー職・教育担当・サービス提供責任者など、現場の中心的役割を担うことができます。
受験資格: 実務経験3年以上+実務者研修修了
試験時期: 毎年1月頃(合格率約70%)
④ ケアマネージャー(介護支援専門員)
介護福祉士などの有資格者が、5年以上の実務経験を経て目指せる資格。
利用者のケアプランを作成する、介護サービス全体のコーディネートを担います。
受験資格: 国家資格保有+実務経験5年以上
主な勤務先: 居宅介護支援事業所・包括支援センターなど
資格によって変わるキャリアと年収
介護業界では、資格によって給与水準に明確な差があります。
| 資格レベル | 平均月収(目安) | 主な業務 |
|---|---|---|
| 無資格 | 約20〜22万円 | 生活支援・補助業務 |
| 初任者研修 | 約22〜25万円 | 身体介助・見守り支援 |
| 実務者研修 | 約25〜28万円 | 医療的ケア・サービス提供責任者補佐 |
| 介護福祉士 | 約28〜33万円 | リーダー・教育担当・ケア品質管理 |
| ケアマネージャー | 約30〜38万円 | ケアプラン作成・相談支援 |
資格を取ることで、年収だけでなく役割の幅も広がるのが介護職の特徴です。
未経験からでも、努力次第でキャリアアップが十分可能です。
無資格・未経験からの転職ステップ
これから介護業界に入る人のために、現実的なステップアップの流れを紹介します。
- ① 無資格OKの職場に就職
施設のサポート業務や補助を通して、現場の流れを学ぶ。 - ② 初任者研修を取得
働きながら通信講座で取得する人も多い。 - ③ 実務者研修・介護福祉士へステップアップ
経験を積みながら専門性を高め、資格手当や昇給を狙う。
多くの事業所では資格取得支援制度を設けており、
受講費用の一部または全額を補助してくれるケースもあります。
資格取得のメリット3つ
- ① 給与・待遇が上がる
資格手当が支給され、昇進・昇給のチャンスが広がります。 - ② 信頼される存在になれる
専門知識が身につき、利用者や家族からの信頼が増します。 - ③ 転職市場で有利になる
資格を持っているだけで、応募できる求人が増加します。
資格がなくても転職を成功させるポイント
無資格で転職を目指す場合、以下の3点を意識しましょう。
- ① 「学ぶ意欲」を伝える
面接では「資格取得を目指して勉強中」「働きながら学びたい」と前向きな姿勢をアピール。 - ② 「人柄」と「やる気」で勝負
介護職は人間関係とチームワークが重視されるため、協調性を示すと好印象です。 - ③ 「資格支援制度」がある職場を選ぶ
未経験者向けの研修制度が整った法人を選ぶことで、安心してキャリアを築けます。
まとめ:資格は“入口”ではなく“可能性を広げる鍵”
介護職は資格がなくても始められる、珍しい専門職のひとつです。
ただし、資格を取得することで仕事の幅・給与・信頼が大きく広がります。
まずは無資格OKの職場で経験を積みながら、自分のペースでステップアップしていきましょう。
資格は「働き方の選択肢を増やすための道具」として、あなたのキャリアを確実に支えてくれます。

飲食・WEB・デザイン・出版など、様々な業界を経てきた現役のケアワーカー。介護にたどり着いたのは、大好きだった祖母の自宅介護がきっかけ。ケアチルでは、現場での視点も交えつつ、これから介護業界に携わろうとしている方、すでに業界にいて岐路に立っている方に向けて、介護業界の情報を分かりやすくお届けします。