
介護の仕事を始めるときに必ず耳にする「初任者研修」と「実務者研修」。
どちらも介護職に必要な資格ですが、「どっちを先に取ればいいの?」「何が違うの?」と悩む方も多いのではないでしょうか。
この記事では、2つの資格の違いをわかりやすく比較し、それぞれの特徴・学べる内容・キャリアアップの流れを詳しく解説します。
まず知っておきたい:2つの資格の位置づけ
「初任者研修」と「実務者研修」は、どちらも厚生労働省が定める介護職員養成研修の一種です。
簡単に言うと、
という位置づけになります。
初任者研修で介護の基礎を学び、次のステップとして実務者研修で専門的な知識と技術を身につける流れが一般的です。
実務者研修と初任者研修の違いを一覧で比較
比較項目 | 初任者研修 | 実務者研修 |
---|---|---|
資格の位置づけ | 入門資格(介護のスタート) | 中級資格(介護の専門職) |
目的 | 介護の基礎知識と技術を学ぶ | 介護計画の作成や医療的ケアを学ぶ |
対象者 | 介護未経験・初心者 | 初任者修了者・介護経験者 |
学習期間 | 約3〜4ヶ月 | 約6ヶ月(通信+スクーリング) |
費用の目安 | 約8万〜10万円 | 約12万〜20万円 |
学習内容 | 介護の基本・身体介護・認知症ケアなど | 介護過程の展開・医療的ケア・指導法など |
修了後にできる仕事 | 介護スタッフ・ホームヘルパー | サービス提供責任者・介護福祉士受験資格 |
キャリアレベル | 新人・初級職 | 中堅・リーダー職 |
初任者研修で学ぶ内容
初任者研修は、介護職として働くための最低限の基礎知識と技術を身につけることが目的です。
未経験者でも安心して受講できる内容で、修了後は訪問介護や施設介護などの現場で即戦力として働けます。
主なカリキュラム内容
- 介護の基本と倫理
- 身体介護(食事・入浴・排泄など)
- 高齢者・障がい者の理解
- 認知症ケア・コミュニケーション
- 介護記録の書き方・報告方法
学習時間は約130時間で、通学または通信講座で3〜4ヶ月程度。
修了すれば介護職員としての第一歩を踏み出せます。
実務者研修で学ぶ内容
実務者研修は、初任者研修の内容を踏まえて、さらに専門的・実践的なスキルを学ぶ研修です。
介護福祉士国家試験を受けるための必須条件にもなっています。
主なカリキュラム内容
- 介護過程の展開(アセスメント〜評価)
- 医療的ケア(喀痰吸引・経管栄養の基礎)
- 介護計画書の作成演習
- チームマネジメント・リーダーシップ
- サービス提供責任者業務の理解
受講期間は約6ヶ月。通信+通学(スクーリング)の形式で行われ、
修了後はサービス提供責任者や介護福祉士国家試験受験など、さらなるキャリアアップが可能です。
2つの資格の関係性
初任者研修と実務者研修は独立した資格ではなく、ステップアップ型の関係にあります。

初任者研修 → 実務者研修 → 介護福祉士という流れが、現在の一般的なキャリアルートです。
この順番で学ぶことで、基礎・応用・国家資格と段階的にスキルアップできます。
どちらを先に取るべき?
結論から言えば、未経験者は初任者研修からスタートするのが基本です。
いきなり実務者研修を受講することも可能ですが、内容が難しく、実務経験がないと理解が追いつかないことがあります。
職場によっては、初任者修了後に費用補助で実務者研修を受けられる制度もあります。
費用・期間の比較まとめ
項目 | 初任者研修 | 実務者研修 |
---|---|---|
期間 | 約3〜4ヶ月 | 約6ヶ月 |
費用 | 約8万〜10万円 | 約12万〜20万円 |
通学日数 | 約15日 | 約5〜7日(スクーリング) |
取得後の資格手当 | 月3,000〜5,000円 | 月5,000〜10,000円 |
実務者研修を受けるタイミングの目安
初任者研修修了後、1〜2年の現場経験を積んでから実務者研修を受けるのが理想的です。
実際の介護現場を理解していることで、研修内容をより深く理解できます。
また、介護福祉士国家試験を受けるためには「実務経験3年以上+実務者研修修了」が必須なので、
早めに受講を始めることで試験受験までのスケジュールを無理なく組めます。
それぞれの資格に向いている人
目的が「介護を始めたい」なら初任者研修、「キャリアアップしたい」なら実務者研修を選ぶと間違いありません。
まとめ:初任者研修と実務者研修はキャリアの連続ステップ
初任者研修は介護職のスタートライン、実務者研修は次のステップとしての専門研修です。
どちらも介護職としての信頼性とスキルを高めるために欠かせない資格といえます。
まずは初任者研修で基礎を習得し、その後実務者研修で専門性とリーダーシップを磨くのが理想的な流れです。
段階的に学ぶことで、将来的に介護福祉士・サービス提供責任者・管理者などへの道が開けます。
自分のキャリアプランに合わせて、無理のないペースでステップアップしていきましょう。

飲食・WEB・デザイン・出版など、様々な業界を経てきた現役のケアワーカー。介護にたどり着いたのは、大好きだった祖母の自宅介護がきっかけ。ケアチルでは、現場での視点も交えつつ、これから介護業界に携わろうとしている方、すでに業界にいて岐路に立っている方に向けて、介護業界の情報を分かりやすくお届けします。