中堅スタッフの負担増が静かに進行中:育成・実務・メンタルの“三重負担”をどう防ぐか

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介護現場でいま、じわじわと問題になっているのが「中堅スタッフの疲弊」です。
入職3〜7年目くらいのいわゆる“中堅層”は、現場の戦力でありながら、新人育成・実務・調整役を同時に担わされることが増えています。
本人も「頼られるのはうれしい」一方で、気づいたら常に一番忙しい人になってしまうケースも少なくありません。
この記事では、中堅スタッフの三重負担の実態と、現場でできる負担分散の工夫を整理します。

なぜ“中堅”に負担が集中しやすいのか

  • 新人が育つ前に辞めてしまう。
  • ベテランが少なく、中堅が実務の中心になる。
  • 「できる人」に仕事が集まりやすい。

人手不足が続くなか、新人は育成途中で離職、ベテランは管理職や他部門へという流れが増えています。
結果として、夜勤・フロアリーダー・新人指導など、現場の“要”を中堅が担うことが多くなります。
「この人なら任せられる」という安心感から仕事が集まり、いつの間にか負荷が一番高いポジションになってしまうのです。

見えにくい“中堅の三重負担”とは

  • 自分の実務で手一杯。
  • 新人・後輩の育成を任される。
  • 現場と管理者の間で調整役になる。

中堅は、フロアを回しながら記録・家族対応・多職種連携など、自分の仕事だけでも十分重い立場です。
そこに「新人指導」「後輩の相談役」「シフトの穴埋め相談」などが重なり、常に誰かに呼ばれている状態になりがちです。
しかも本人は「自分が頑張るしかない」と感じやすく、疲れを伝えづらい立場でもあります。

「夜勤明けでも、つい新人さんの相談に付き合ってしまう」「リーダー会議の前後は、自分の記録がいつも後回しになる」など、
“頑張り屋の中堅ほど忙しくなっていく”という声が各地で聞かれます。

負担が蓄積すると、どんなサインが出るか

  • イライラしやすくなる。
  • ミスが増えたと感じる。
  • 休みの日も仕事のことを考えてしまう。

「怒りっぽくなった」「注意力が落ちた」と感じ始めているなら、中堅の三重負担が限界に近づいているサインかもしれません。
また、「休みの日にシフト表やLINEを何度も見てしまう」「仕事の夢を見る」といった状態も、心と体が休めていないサインです。
放置すると、燃え尽き(バーンアウト)や突然の退職につながりかねません。

現場でできる“負担分散”の3ステップ

  • 業務を棚卸しして見える化する。
  • 教育を“個人の善意”から“仕組み”に変える。
  • 中堅自身も「やらないこと」を決める。

まずは、「何となく忙しい」をやめて、中堅が今どんな仕事を抱えているかを具体的に書き出します。
そのうえで、「本人がやるべき仕事」「他の人に渡せる仕事」「そもそも減らせる仕事」に分けていくことがポイントです。

業務棚卸しのシンプルな分け方:
・自分でないとできない:カンファレンスのまとめ、家族対応、判断が必要な場面など。
・誰でもできる:物品補充、環境整備、定型の記録整理など。
・頻度を下げられる:日報の書き方の細かさ、ダブっているチェック項目など。

育成を“属人”にしない工夫

  • 新人マニュアル・チェックリストを用意する。
  • 「教える人」を一人に固定しない。
  • OJTの時間をシフト上にきちんと組み込む。

「〇〇さんに付いて学んでね」というスタイルは、中堅に負担が集中しがちです。
そこで、基本手順を紙やデータで共通化し、誰が教えても同じ説明ができる状態にしておくことが重要です。
また、OJTを「空いた時間でやる」のではなく、シフト表に教育枠として組み込むことで、「教えること」自体を業務として扱えるようになります。

「新人指導担当」を一人決めるのではなく、
・業務手順の説明係
・実技チェック係
・記録の確認係
など、役割ごとに担当を分ける事業所も増えています。

中堅自身ができるセルフマネジメント

  • 「今は対応できない」と伝える練習をしておく。
  • 優先順位をつけて、全部を完璧にやろうとしない。
  • 自分の疲れを“早めに共有”する。

責任感の強い中堅ほど、「頼まれたら断れない」「自分がやるしかない」と考えてしまいがちです。
しかし、それが限界を超えてしまうと、体調不良や離職という形で現れてしまいます。
「今は他の対応中なので、あと10分だけ待ってもらえますか?」といった、“すぐに引き取らない”ための言い方を用意しておくことも、自分を守る大切なスキルです。

管理者やリーダーに対しても、
「ここまでは対応できますが、これ以上は他の方にお願いしたいです」
と具体的に伝えると、負担が見えやすくなります。

管理者・リーダーが意識したいポイント

  • 「頑張っている中堅」に仕事を集めすぎない。
  • 中堅の“感情の変化”に目を向ける。
  • 育成・調整業務も評価の対象にする。

中堅は、管理者から見ても「頼りになる存在」です。
しかし、頼りになる人に仕事を集め続けると、中堅が壊れた瞬間に現場も崩れるというリスクを抱えることになります。
日々の表情・口数・態度の変化に目を向け、「最近どう?」と声をかけるだけでも、中堅の安心感は違ってきます。
また、数値に出にくい育成・調整・フォローも、評価や面談の中でしっかり言語化して伝えることが大切です。

まとめ:“中堅が倒れたら現場は止まる”を前提に

  • 中堅の負担は見えにくく、声も上げづらい。
  • 育成・実務・調整の三重負担が静かに進行している。
  • 業務の棚卸しと役割分担、仕組み化が鍵になる。

介護現場は、中堅スタッフのがんばりで支えられていると言っても過言ではありません。
だからこそ、「頑張らせすぎない工夫」を、チーム全体で考えていく必要があります。
まずは、中堅の一日の仕事を書き出してみること。
そこから、「これは一人で抱えなくていいよね」と話し合うこと。
その小さな一歩が、“中堅が長く働き続けられる職場”づくりのスタートになります。

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