介護現場で始まる外国人スタッフ定着支援強化の波:“多文化職場”は当たり前に

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介護の現場ではいま、外国人スタッフの存在が“特別なこと”ではなくなりつつあります。
厚生労働省は2025年に向けて、これまでの「受け入れ促進」から一歩進み、「定着支援」を重視する方針を打ち出しました。
この記事では、最新の政策動向と、実際に現場で働く介護スタッフにとってどんな変化が起きているのかを紹介します。

政策が示す「受け入れ」から「定着支援」への変化

骨太の方針2025で明確化された方向性

政府が2025年6月に発表した「骨太の方針2025」では、外国人介護人材に関する方針が大きく転換しました。
これまで重点を置いていたのは「受け入れ枠の拡大」でしたが、今後は「現場で長く働き続けてもらうための支援」に軸足が移ります。
背景には、介護職員の人手不足が続き、2030年には約32万人の人材が不足するとされる厳しい現実があります。

現場が抱える課題:言語・文化・制度の壁

受け入れ当初はスムーズでも、数年後に退職してしまう外国人スタッフが少なくありません。
原因としては、日本語コミュニケーションの難しさ、夜勤シフトの負担、キャリアアップの仕組み不足などが挙げられます。
「ありがとうと言いたくても、どう伝えればいいかわからない」——そんな小さなすれ違いが積み重なり、職場の空気を冷やすこともあります。

介護スタッフとして知っておきたい“多文化対応現場”のリアル

言葉の壁を越えるチームづくり

今後、多くの施設で「多文化職場」が当たり前になります。
現場では、翻訳アプリやピクトグラム(絵文字サイン)を活用した情報共有が進み、介護記録システムにも多言語対応が広がっています。
また、ベテラン職員が“メンター”として外国人スタッフを支援するケースも増えており、「教える文化」から「支え合う文化」へと変化し始めています。

職場に求められる“定着支援”の仕組み

厚労省のモデル事業では、「言語教育」「メンタルサポート」「生活支援」の3本柱を軸に、外国人スタッフの定着率向上を目指しています。
実際、東京都内のある施設では、生活相談員が外国人スタッフの生活をサポートする体制を整えた結果、離職率が30%から12%へ改善したという報告も。
このように、職場全体で支える仕組みづくりが成果を上げつつあります。

スタッフ自身ができる準備と視点

「多文化職場で働く」ことを前向きに捉える

外国人スタッフと働くことは、最初こそ戸惑う場面もありますが、“学び合いの機会”と考えると大きな成長につながります。
文化や宗教の違いを理解することで、利用者対応の幅や人間関係スキルが向上するというメリットもあります。
お互いの得意分野を活かし合うことで、チームケアの質が上がる好例も増えています。

スタッフ個人のキャリアにもプラスに

今後は、外国人スタッフの教育・指導経験がキャリア評価に含まれる動きも進むと見られています。
「指導できる職員」は職場で重宝され、管理職や教育担当へのステップアップにもつながります。
多文化対応力を磨くことは、自分の将来を広げる“新しい専門性”のひとつになり得るのです。

まとめ:多様性が“チーム力”を高める時代へ

介護の現場における外国人スタッフの存在は、もはや一時的な補充要員ではありません。
制度的にも、文化的にも、“多様性を前提とした職場づくり”が求められる時代が来ています。
そしてその中心にいるのは、現場で日々利用者と向き合う私たち介護スタッフです。
お互いの違いを認め合い、支え合える職場をつくること——それが、これからの介護の未来を明るくする鍵になるでしょう。

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