
ケアマネージャー資格とは?
ケアマネージャー(介護支援専門員)は、介護保険制度のもとでケアプラン(介護サービス計画)を作成する国家資格です。利用者の心身の状況を把握し、介護サービス事業所や医療機関と連携して支援を行います。
資格を取得するには、介護や医療分野での実務経験を積み、都道府県が実施する「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格する必要があります。
ケアマネージャーの資格取得までの流れ
ケアマネージャー資格は、以下の3ステップで取得します。
- 受験資格を満たす(実務経験)
- ケアマネージャー試験に合格
- 実務研修(87時間)を修了し、登録申請
それぞれのステップについて詳しく見ていきましょう。
① 受験資格(実務経験)を満たす
ケアマネージャー試験は、誰でも受けられるわけではありません。一定の国家資格+実務経験が必要です。
主な受験資格者
- 介護福祉士として通算5年以上の実務経験がある人
- 看護師・准看護師・社会福祉士・理学療法士・作業療法士などの国家資格者で5年以上の実務経験がある人
- 施設長や支援相談員などとして介護業務に5年以上従事した人
※「5年以上」は日数にして900日以上の実働日数が必要です。
受験資格に該当しない例
つまり、ケアマネージャーを目指すためには、まず介護福祉士または医療系国家資格を取得し、5年以上の経験を積むのが基本ルートです。
② ケアマネージャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)
受験資格を満たしたら、年1回実施されるケアマネ試験を受けます。各都道府県の介護支援専門員協会が実施し、例年10月に全国一斉で行われます。
試験概要
項目 | 内容 |
---|---|
試験日 | 毎年10月(年1回) |
試験科目 |
|
試験時間 | 2時間(全95問・マークシート形式) |
合格基準 | 各分野で一定点数以上、かつ総得点で合格点を満たすこと |
難易度は高く、合格率は約15〜20%前後。介護福祉士よりも専門知識と判断力が求められる試験です。
試験勉強のポイント
- 過去問中心の学習:出題傾向が毎年似ており、過去5年分を重点的に対策。
- 通信講座・予備校の活用:独学では理解が難しい「医療・福祉法制度」を体系的に学べる。
- 学習期間:合格者の多くは6〜12か月間の学習を継続。
介護現場で働きながら受験する人が多いため、時間管理と継続学習が合格のカギです。
③ 実務研修(87時間)の受講
試験に合格すると、次は実務研修(介護支援専門員実務研修)を受講します。この研修を修了しないと、正式に「ケアマネージャー」として登録できません。
実務研修の概要
- 期間:おおよそ3か月〜6か月
- 内容:ケアプラン作成演習、ケーススタディ、法制度理解など
- 修了要件:全日程(87時間)を受講し、修了評価に合格
この研修は、実際のケアマネ業務を想定した実践的な内容で、現場で即戦力として働ける力を養います。
資格取得までの期間と最短ルート
最短ルートの例(介護職からの場合)
合計で約6〜7年が最短ルートです。医療系国家資格保持者の場合は、5年の実務経験で受験可能なため、やや短縮できます。
ケアマネージャー資格の更新制度
ケアマネ資格には5年ごとの更新制度があります。更新時には「介護支援専門員更新研修(44時間)」の受講が必要です。法制度の改正や介護報酬の変更に対応するため、常に最新の知識を学び続けることが求められます。
ケアマネージャー資格取得のメリット
- キャリアアップ:介護職から専門職へステップアップできる
- 給与アップ:月3〜5万円の資格手当がつくケースも
- 日勤・土日休みの働き方が可能:家庭との両立がしやすい
- 地域貢献度が高い:利用者や家族に直接感謝される仕事
ケアマネージャーは、単なる資格ではなく「信頼を築く専門職」として社会的評価の高い職種です。
まとめ:ケアマネージャー資格は介護職のキャリアの頂点
ケアマネージャー資格を取得するには、実務経験+国家試験+実務研修という3つのステップが必要です。ハードルは高いものの、資格を取得すれば介護業界でのキャリアと待遇が大きく向上します。
「介護の現場を支える側から、利用者を支える側へ」。その転換点となるのがケアマネージャーです。努力を重ねた先には、やりがいと誇りに満ちたキャリアが待っています。

飲食・WEB・デザイン・出版など、様々な業界を経てきた現役のケアワーカー。介護にたどり着いたのは、大好きだった祖母の自宅介護がきっかけ。ケアチルでは、現場での視点も交えつつ、これから介護業界に携わろうとしている方、すでに業界にいて岐路に立っている方に向けて、介護業界の情報を分かりやすくお届けします。