介護職の離職理由とは？現場でよくある悩みと長く続けるための対策を解説

介護職の主な離職理由5つ

① 人間関係のトラブル

介護現場で最も多い離職理由が人間関係の悪化です。上司や同僚とのコミュニケーションがうまくいかない、派閥がある、意見を言いにくい雰囲気など、職場の人間関係がストレスになるケースは少なくありません。介護はチームワークが重要な仕事なので、信頼関係が築けないと精神的な負担が大きくなります。

② 給料・待遇に対する不満

「仕事量に対して給料が見合わない」と感じて離職する人も多いです。介護職の平均年収は約430万円とされていますが、施設や地域によって差があります。夜勤や残業の多さに対して十分な手当が支給されない職場では、モチベーションの低下につながります。ただし、最近では「処遇改善加算」により賃金水準は少しずつ上昇しており、給与面を理由に辞める人は減少傾向にあります。

③ 体力的・精神的な疲労

介護職は肉体労働の要素が強く、入浴介助や移乗介助などで体力を消耗します。さらに夜勤やシフト制勤務が重なることで、生活リズムが乱れやすくなります。また、利用者や家族からの厳しい言葉や感情的な対応を受け、精神的に消耗してしまう人もいます。身体的・精神的な負担のバランスを取ることが大切です。

④ キャリアの見通しが立たない

「このまま現場で働き続けても将来どうなるのか分からない」と感じて離職するケースもあります。介護福祉士やケアマネジャーなどの上位資格を取得すればキャリアアップが可能ですが、職場によっては昇給や昇格のチャンスが少ない場合もあります。将来の見通しを描けないことが、離職につながる大きな原因の一つです。

⑤ 職場環境・運営方針への不満

職員数が足りない、業務が非効率、上層部が現場の声を聞いてくれないなど、職場環境に対する不満も離職理由の上位にあります。現場の負担が重いとミスや事故のリスクも増え、責任の重さから退職を考える人も少なくありません。働きやすい職場づくりが、離職防止のカギとなります。

離職を防ぐためのポイント

① 無理をせず、助けを求める

介護の現場では「自分が頑張らなきゃ」と思いすぎて、抱え込みがちな人が多いです。しかし、無理をすると心身を壊してしまいます。つらいときは同僚や上司に素直に相談しましょう。協力し合うことで、仕事の負担を分散できます。チームで支え合う意識が大切です。

② 自分のペースを大切にする

介護の仕事はスピードや正確さが求められますが、焦ってしまうとストレスが溜まりやすくなります。最初から完璧を目指すのではなく、できることから一歩ずつ覚えていきましょう。自分の成長を認めることで、モチベーションが保てます。

③ 感情を切り替えるスキルを身につける

利用者や家族から厳しい言葉を受けたとき、すべてを真に受けてしまうと疲れてしまいます。「相手は不安だからそう言っているのかもしれない」と一歩引いて考えることで、気持ちの切り替えができます。感情のコントロールは長く続けるための大切なスキルです。

④ ストレス発散の習慣を持つ

休日は仕事を忘れてリフレッシュしましょう。軽い運動、趣味、旅行、友人との食事など、自分なりの発散法を持つことがストレス予防につながります。「仕事モード」と「オフモード」をしっかり分けることが、長く続けるコツです。

⑤ 職場環境を見直す勇気を持つ

努力しても改善されない人間関係や、慢性的な人手不足に悩まされている場合は、思い切って転職を検討するのも一つの方法です。介護業界は全国的に求人が多く、あなたに合った環境が必ず見つかります。「辞めること」はネガティブではなく、「自分を大切にする選択」です。

離職率の低い職場の特徴

• 職員同士の連携が取れている：報告・相談が活発で、助け合える雰囲気がある
• 新人教育がしっかりしている：初期研修やフォロー体制が整っている
• シフトに無理がない：夜勤や残業が適正で、休みが取りやすい
• 管理者が現場を理解している：上司が話を聞いてくれる・現場に寄り添っている
• 処遇改善が行われている：給与・手当・評価制度が明確

離職率の低い施設は、人を大切にする文化が根付いています。面接や見学の際には、スタッフの表情や雰囲気をよく観察しましょう。

離職後も介護の道を続けたい人へ

「介護の仕事自体は好きだけど、職場環境が合わなかった」と感じる人も多いです。その場合は、施設の種類を変えることで負担を軽減できることがあります。たとえば、夜勤のないデイサービスや、利用者数の少ないグループホーム、家庭的な雰囲気の小規模多機能施設などです。

また、経験を活かして訪問介護員（ホームヘルパー）として働く道もあります。利用者と1対1で向き合えるため、人間関係のストレスを減らしやすい環境です。

まとめ：離職は「失敗」ではなく「再出発」

介護職の離職には、さまざまな理由があります。しかし、それは「介護に向いていなかった」わけではありません。むしろ、より良い環境で働きたいという前向きな選択です。介護の仕事は、人の人生に寄り添う尊い職業です。だからこそ、自分自身の心と体を守ることが何より大切です。

もし今の職場で苦しさを感じているなら、それは「新しいステージに進むタイミング」かもしれません。自分に合った職場で、再びやりがいと笑顔を取り戻しましょう。