車いす移乗が怖い…安定させるコツは?|「安全・姿勢・声かけ」で不安を軽減する移乗介助の基本

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車いすへの移乗は、介護の中でも「怖い」「不安」と感じるスタッフが多いケアです。
利用者さんの体格や筋力、介助者との呼吸のズレによってバランスを崩しやすく、転倒・転落リスクが高い場面でもあります。

しかし、移乗介助は“力”ではなく準備・姿勢・声かけの3つを整えるだけで安全性が大きく向上します。
特に新人さんは「どう支えればいい?」「立ち上がりの瞬間が怖い…」と感じやすいため、落ち着いて進められる“型”を知ることが大切です。

この記事では、車いす移乗を安全に行うための環境調整のコツ・姿勢のポイント・声かけの方法を、現場でそのまま使える形で詳しく解説します。

① ブレーキ・足置き・車いすの角度だけで安全性が大きく変わる

移乗の怖さの大半は、実は「環境が整っていない」ことによる不安です。
移乗前に必ず次の3点をチェックしましょう。

● 1)ブレーキを確実に固定する

  • 左右のブレーキをしっかり確認
  • 片方だけ止めていると回転しやすく転倒リスク増

ブレーキの確認を徹底するだけで、移乗の安定感は格段に上がります。

● 2)足置きを上げる/外す

  • 足置きに引っかかって転倒するケースが非常に多い
  • 足がしっかり床につく状態を作るのが基本

「足がつく位置に調整する」ことが立ち上がりの成功率を左右します。

● 3)ベッドと車いすの角度は“30〜45度”が理想

車いすを真横につけるより、少し斜めに配置したほうが移乗がスムーズです。

  • ベッド:車いすの座面より少し高め
  • 角度:利用者が座りやすい30〜45度

たったこれだけの調整で、介助者の怖さも利用者さんの不安も大幅に減ります。

② 利用者さんの「足位置」と介助者の「立ち位置」を合わせる

移乗介助の安定感を決める最大のポイントは、“足の位置”です。

立ち上がりがうまくいかない原因の多くは、

  • 利用者さんの足が後ろすぎる → 立てない
  • 介助者が遠い位置に立っている → 支えられない

という「足の位置のズレ」です。

● 利用者さんの足位置の基本

  • 膝が軽く前に出る位置
  • かかとは床につける(浮いていると踏ん張れない)
  • 足は肩幅程度に開く

この位置ができると、立ち上がりが驚くほど安定します。

● 介助者の立ち位置の基本

  • 利用者さんのつま先より少し後ろに立つ
  • 片足を軽く前に出し、自分の重心を低くする
  • 胸〜肩を正面から支える位置へ

“支える距離”が近いほど、怖さも負担も減ります。

③ 「せーの」で立つのではなく、“一緒に立ち上がる”イメージで動く

移乗時に多い失敗が、介助者が先に動いてしまい、利用者さんの身体が遅れてついてくるパターンです。
これではバランスを崩しやすく、介助者側も腰を痛めやすくなります。

重要なのは、「一緒に立ち上がる」感覚で動くことです。

動作の流れ:

  • ① 「立ちますね」と声で予告
  • ② 軽く前方へ体重移動してもらう
  • ③ 介助者も同じタイミングで体重を前へ
  • ④ 息を合わせて立ち上がる

“立たせる”のではなく、“一緒に立つ”ことを意識すると、驚くほど安定します。

④ 不安が強い利用者さんには「動作ごとの予告」が必須

車いす移乗は、姿勢の変化が大きく、利用者さんにとって意外と怖い場面でもあります。
特に認知症のある方は、突然動かされると恐怖から身体が固まりやすくなります。

そんなときは、動作を細かく予告する声かけが効果的です。

声かけ例:

  • 「今から座り直しますね」
  • 「右に少し身体を向けますよ」
  • 「足を前に出しましょうね」
  • 「そろそろ立ち上がります。ゆっくりいきます」
  • 「座りますよ。後ろに椅子がありますので安心してください」

動作の“前”に声をかけることがポイントです。

⑤ 介助者自身の姿勢を整えると“怖さ”が激減する

移乗が怖い最大の理由は、介助者の姿勢が不安定なことによる“自分の転倒リスク”です。

安全な介助者の姿勢:

  • 足は肩幅より少し広く
  • 膝を軽く曲げて腰を落とす
  • 背筋は伸ばし、前傾しすぎない
  • 利用者さんの身体に近い位置で支える

姿勢が安定しているだけで、利用者さんも安心して身体を預けられるため、スムーズに動けます。

⑥ 移乗が怖いときは「2人介助」に切り替える判断も重要

利用者さんの状態によっては、一人介助では危険な場面もあります。

下記に当てはまる場合は、迷わず2人介助に切り替えましょう。

  • 立ち上がりが極端に不安定
  • ふらつきが強い
  • 体重移動が苦手で支えが必要
  • 転倒の既往がある
  • 介助者が不安を感じている

「怖い」と感じたとき、その感覚はとても重要です。
無理せず、安全を優先する判断が必要です。

まとめ:移乗介助の“怖さ”は準備と姿勢で大きく軽減できる

車いす移乗は、慣れるまでは怖さを感じやすいケアですが、
環境調整・足位置・姿勢・声かけを整えるだけで安全性が大幅に向上します。

① ブレーキ・足置き・角度を整える
② 利用者の足位置と介助者の立ち位置を合わせる
③ 一緒に立ち上がる意識で動く
④ 不安が強い方には“細かい予告”が必須
⑤ 姿勢を安定させて介助者の怖さも軽減
⑥ 危険を感じたら2人介助に切り替える

これらを意識することで、移乗介助の怖さは徐々に薄れ、利用者さんにとってもスタッフにとっても安心できる時間になります。
毎回の小さな成功を積み重ねながら、安全で安定した介助を身につけていきましょう。

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