介護福祉士の夜勤とは？仕事内容・給料・メリットと負担を徹底解説

介護福祉士の夜勤とは？

夜勤の目的と役割

介護施設では、夜間も利用者の安全と生活を守るために職員が常駐しています。介護福祉士は、夜間の見守りや排せつ介助、緊急対応などを行い、24時間体制のケアの要となる存在です。日中よりも少人数の職員で運営されるため、夜勤時は1人で多くの入居者を担当することもあり、高い判断力と責任感が求められます。

勤務時間とシフト例

夜勤の勤務時間は施設によって異なりますが、一般的には16:30〜翌9:30の「16時間夜勤」が主流です。途中で仮眠時間（2〜3時間程度）が設けられる場合もありますが、緊急対応などで十分に休めないこともあります。週1回〜4回程度の夜勤を担当するケースが多く、体力と生活リズムの管理が重要になります。

夜勤中の仕事内容

1. 就寝介助（19:00〜22:00）

夜勤が始まると、まず利用者の就寝準備を行います。歯磨き、トイレ誘導、着替え、ベッドへの移動などを手伝いながら、体調や表情を観察します。特に高齢者の場合、日中の疲労や脱水で夜に体調を崩すことがあるため、細やかな気配りが必要です。

2. 巡回・見守り（22:00〜翌5:00）

利用者が眠っている間も、介護福祉士は定期的に巡回を行います。2〜3時間おきに各居室をまわり、寝返りの介助やおむつ交換、体位変換を実施します。転倒防止のための見守りや、ナースコールへの対応も大切な業務です。夜間は職員数が限られるため、一人で10〜30人を担当するケースも珍しくありません。

3. 起床介助・朝食準備（5:00〜9:00）

明け方には徐々に利用者を起こし、排せつ・洗顔・着替え・整容の介助を行います。朝食準備や配膳、服薬確認なども担当します。日勤スタッフへの引き継ぎまでが夜勤の仕事で、最後まで集中力が欠かせません。

夜勤手当と給料の実態

夜勤手当の相場

夜勤手当は、介護福祉士の給料に大きく影響します。1回の夜勤につき5,000円〜10,000円程度の手当が支給されるのが一般的です。月に4〜6回の夜勤を行うと、手当だけで月2万〜6万円前後が上乗せされ、年間では30万〜70万円の差が生まれます。

夜勤を含めた平均年収

夜勤を行う介護福祉士の平均年収は約450万円前後です。夜勤を行わない日勤専従職員と比べると、年収で50万〜80万円ほどの差が出るケースもあります。夜勤を担当することは、収入を安定させるうえで非常に大きなポイントとなります。

夜勤専従スタッフという働き方

近年では、夜勤のみを専門に行う夜勤専従介護福祉士という働き方も注目されています。1回の勤務が長いため、出勤日数は少なく、プライベートの時間を確保しやすいのが特徴です。給与は日給制（1回あたり20,000〜30,000円）で、フルタイム勤務に近い収入を得ることも可能です。

夜勤のメリットとデメリット

夜勤のメリット

• 収入が増える：夜勤手当がつくことで月収・年収が上がる。
• 日中の時間を活用できる：平日に役所・病院・買い物などを済ませられる。
• 人間関係のストレスが少ない：夜間は少人数勤務のため、静かな環境で仕事ができる。
• スキルアップにつながる：緊急対応や観察力が磨かれ、介護福祉士としての経験値が高まる。

夜勤のデメリット

• 生活リズムが崩れやすい：昼夜逆転になり、体調管理が難しい。
• 体力的負担：長時間の勤務や夜間対応により疲労が蓄積しやすい。
• 孤独感：少人数での勤務のため、緊急時に心細さを感じることもある。
• 睡眠不足：仮眠時間が十分に取れない施設もあり、翌日まで疲れが残ることも。

夜勤を乗り切るためのコツ

1. 体調管理を最優先にする

夜勤前後の食事と睡眠が何よりも大切です。出勤前に消化の良い食事をとり、勤務明けは遮光カーテンや耳栓を使ってしっかり休む習慣をつけましょう。カフェインの摂りすぎや夜勤後のアルコールは睡眠の質を下げる原因になるため注意が必要です。

2. 情報共有を徹底する

夜勤は少人数勤務のため、日勤スタッフとの引き継ぎミスがトラブルにつながることがあります。勤務開始時には引き継ぎノートや口頭確認をしっかり行い、利用者の体調や注意事項を把握しておきましょう。終了時も詳細な報告を残すことで、チーム全体の信頼を得られます。

3. 自分なりのリズムをつくる

夜勤は慣れるまでが大変ですが、自分に合ったペースを見つけることで負担を減らせます。巡回のタイミングを一定にしたり、記録をこまめに書くなど、小さな工夫が大きな違いになります。夜勤明けの日は「無理をせず休む」ことも大切です。

夜勤で得られるやりがいと成長

夜勤では、日中よりも利用者と静かに向き合える時間が増えます。夜中に不安を訴える利用者の手を握って安心させたり、体調の急変に素早く対応して命を守ったりと、介護福祉士としての責任と誇りを感じる瞬間が多くあります。夜勤経験を通じて観察力や冷静な判断力が身につき、リーダーとしての自覚も芽生えます。夜勤は確かに大変ですが、それを乗り越えた先にある達成感と成長は、何にも代えがたいものです。

介護福祉士として夜勤を経験することは、単なる勤務形態のひとつではなく、専門職としての力を高める重要なステップです。体力面の準備と職場選びを工夫すれば、夜勤は大きなやりがいと収入アップを両立できる働き方となるでしょう。