介護スタッフの“やりがい”と“将来不安”:最新意識調査から見えたリアル

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介護の現場で日々利用者と向き合うスタッフたち。
「ありがとう」の一言に救われる瞬間がある一方で、ふとしたときに押し寄せる“将来への不安”。
近年、介護業界では「やりがいと不安が共存する職場」という声が目立っています。
この記事では、最新の意識調査や現場のリアルな声をもとに、介護スタッフの今を深掘りします。

現場で感じる「やりがい」と「満足度」

利用者や家族の“ありがとう”が最大のモチベーション

厚生労働省や各自治体のアンケートによると、介護スタッフの約8割が「仕事にやりがいを感じる」と回答しています。
理由として最も多かったのは、「利用者や家族から感謝の言葉をもらえたとき」
ある介護職員はこう語ります。
「夜勤明けでクタクタの時に、“あなたがいると安心する”と言われて、涙が出るほど嬉しかった」
この“ありがとう”が、介護職を続ける上での支えになっている人は少なくありません。

「人との関わり」もやりがいの源

利用者との信頼関係やチームで協力する達成感など、“人と人との関わり”をやりがいに挙げる声も多く聞かれます。
特に認知症ケアや在宅介護では、小さな変化を見逃さず対応できた時に大きな充実感を得るとの意見も。
「昨日より笑顔が増えた」「食事量が少し戻った」など、利用者の変化を感じられることが自信につながっています。

一方で、満足度には個人差が大きい

ただし、やりがいを感じながらも、仕事全体の満足度は“高い”と答えた人が約4割にとどまるという結果も。
理由として、人員不足・長時間労働・記録業務の多さ・人間関係のストレスなどが挙げられています。
「利用者対応よりも書類仕事の方が多い日もある」「残業が常態化している」といった声も多く、“やりがいだけでは続けられない”という現実が浮かび上がります。

職員が抱える「不安」とその背景

最も多いのは「収入・待遇」への不安

介護職員の平均年収はおよそ380万円前後(令和6年度賃金構造基本統計調査)とされています。
他業種と比べるとまだ低水準であり、約6割のスタッフが「将来の生活に不安を感じている」と回答しています。
特に単身世帯や子育て世代では、「生活費の上昇に収入が追いつかない」という切実な声が多く聞かれます。

人材不足がもたらす心身への負担

現場の多くでは、慢性的な人手不足が続いています。
「1人で2人分の仕事をこなしている」「休憩が取れない」といった声は珍しくありません。
この負担が積み重なり、メンタル不調や離職につながるケースもあります。
実際に、介護職の離職率は全産業平均よりも高く、特に20〜30代の若手層で顕著です。

キャリアパスが見えにくいことも不安要因

介護福祉士資格を取得しても、次のステップが見えにくいという声も。
「リーダー職に進むと現場に出られなくなる」「管理職の負担が大きい」など、キャリアとライフバランスの両立に悩む人が増えています。
また、今後の介護報酬改定や制度変化への不安も根強く、将来の見通しを立てづらいと感じるスタッフが多いのが現状です。

介護スタッフとして知っておきたい“職場改善”の視点

働きやすさは「制度」と「人間関係」の両軸で決まる

働きやすい職場とは、単に休みが多い職場ではありません。
スタッフ同士が支え合い、困ったときに相談できる環境こそが、“離職防止の最大の鍵”になります。
「ありがとう」と言い合える文化や、上司が悩みに耳を傾ける姿勢があるだけで、心理的安全性は大きく向上します。

現場の声を反映した改善が定着率を高める

最近では、スタッフの声を定期的に集める“意見箱制度”や“匿名アンケート”を導入する施設も増えています。
これにより、現場の課題を早期に発見し、業務改善につなげることができます。
たとえば、記録業務をタブレット化したことで残業が月10時間減った施設もあり、現場の満足度向上に直結しています。

キャリアアップと学び直しで未来を描く

介護職は、一生学び続けられる職業でもあります。
介護福祉士実務者研修、喀痰吸引などの専門研修、認知症ケア専門士など、学びの幅は年々広がっています。
最近では、オンライン講座やeラーニングを活用して、自分のペースでスキルアップできる環境も整っています。
学び直しによって「現場の即戦力+キャリア形成」の両立を目指す人が増加中です。

まとめ:やりがいを守り、不安を減らすために

介護スタッフの多くが感じているのは、仕事への誇りと同時に、「このままで大丈夫だろうか」という不安です。
しかし、現場の課題を一つずつ解決し、スタッフの声を大切にすることで、働きやすい職場は必ずつくれます。
そして、自分自身もスキルを磨き、「やりがいを続けられる環境」を選び取る時代へと変わりつつあります。
仲間と支え合いながら、これからの介護をより明るい未来へつないでいきましょう。

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