重度訪問介護の事業所指定・開設要件|申請の流れと必要書類を徹底解説

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重度の障がいを持つ方の在宅生活を支える重度訪問介護は、今後ますます需要が高まる分野です。
新たに事業所を立ち上げたいと考える法人・個人事業者にとって、制度の理解と申請準備は欠かせません。
この記事では、重度訪問介護の事業所指定要件・開設の流れ・必要書類・人員基準について、初心者にもわかりやすく解説します。

重度訪問介護事業所とは?

重度訪問介護事業所とは、障がい者総合支援法に基づき、市町村から指定を受けてサービスを提供する事業所です。
利用者宅を訪問し、身体介護・生活援助・見守りなどの支援を行います。

指定を受けるためには、運営法人や人員配置、運営基準などの条件を満たす必要があります。
介護保険制度の訪問介護(ホームヘルプ)とは異なり、障がい福祉分野の指定事業である点が特徴です。

事業所指定の主な要件

重度訪問介護の指定を受けるには、次の4つの要件を満たす必要があります。

  1. 法人格の有無(株式会社・合同会社・社会福祉法人など)
  2. 人員基準の充足(管理者・サービス提供責任者・従業者)
  3. 設備・運営体制の整備(事務所・連絡体制・苦情対応など)
  4. 運営基準・法令遵守(障がい者総合支援法に基づく基準)

個人事業でも申請は可能ですが、安定的な運営・信用確保の観点から法人設立後の申請が推奨されます。

人員基準

重度訪問介護事業所に必要な人員配置は、以下の通りです。

職種 配置要件 主な役割
管理者 常勤1名(他職務兼務可) 事業運営全般の統括・職員管理
サービス提供責任者 1名以上(利用者数に応じて配置) 計画作成・スタッフ指導・利用調整
重度訪問介護従業者 必要数 利用者への直接支援(介護・見守り)

サービス提供責任者には、実務者研修修了者または介護福祉士の資格が必要です。
また、従業者は重度訪問介護従業者養成研修修了者であることが条件となります。

設備基準

事業所には、運営に必要な最低限の設備環境を整える必要があります。

  • 事務所(専用または共用の執務スペース)
  • 利用者・家族からの連絡体制(電話・メールなど)
  • 介護記録・勤務表などの保管スペース
  • 職員研修や会議が実施できる環境

実際の介護は利用者宅で行うため、大規模な設備投資は不要です。
ただし、管理機能と記録保管機能が整っていることが求められます。

指定申請の流れ

重度訪問介護の指定を受けるための基本的な手順は、以下の通りです。

  1. ① 事前相談:市区町村または都道府県の障がい福祉課に相談し、要件確認。
  2. ② 書類準備:申請書・法人登記簿・運営規程などを作成。
  3. ③ 申請書提出:自治体の受付期間内に正式提出。
  4. ④ 現地確認:職員配置・設備環境の実地調査を受ける。
  5. ⑤ 指定通知・事業開始:審査を経て指定を受け、事業を開始。

申請から指定までの期間は、おおむね1〜2か月程度
ただし、地域によっては事前相談期間を含めて3か月程度かかることもあります。

申請に必要な書類一覧

指定申請時に提出が必要な主な書類は以下の通りです。

  • 指定申請書(様式第1号)
  • 登記事項証明書(法人の場合)
  • 定款または設立趣意書
  • 運営規程・苦情解決体制の明記資料
  • 人員配置表・資格証写し
  • 賃貸契約書または事務所平面図
  • 損害賠償保険加入証明書
  • 資金計画書・収支予算書

自治体によって様式や提出順序が異なるため、必ず事前に所管課へ確認しておくことが重要です。

運営開始後の義務と留意点

指定を受けた後も、法令に基づく運営管理を継続する必要があります。

主な運営義務

  • サービス提供記録の作成・保存(5年間)
  • 職員への定期研修の実施
  • 事故・苦情発生時の報告義務
  • 加算要件・報酬改定への対応
  • 指定更新手続き(6年ごと)

これらを怠ると、行政指導や指定取り消しの対象になる場合があります。
事業を安定して継続するためには、運営体制の整備と情報更新が欠かせません。

事業運営のポイント

重度訪問介護事業は、利用者の生活を支える社会的意義の高い事業です。
しかし、採算性や人材確保の面で難しさもあります。
以下のポイントを押さえることで、安定経営につながります。

  • 勤務管理・報酬請求をICT化し、業務効率を高める
  • 処遇改善加算を活用して職員の待遇を改善する
  • 他事業(居宅介護・同行援護など)と併設して収益を安定化
  • 地域の相談支援事業所・病院との連携を強化

近年では、「在宅重度ケア特化型事業所」として専門性を高めるケースも増えています。

開設時によくある失敗例

新規参入で見られる典型的なトラブル例とその対策を紹介します。

  • スタッフが確保できない:
    ⇒ 指定前から求人を開始し、研修修了者を確保しておく。
  • 運営規程の不備で差し戻し:
    ⇒ 自治体の指定要綱をもとに、必ずフォーマットを確認。
  • 申請スケジュールの遅れ:
    ⇒ 受付期間が年数回の自治体もあるため、早めに相談。
  • 人件費負担が重く赤字化:
    ⇒ 長時間支援や二人体制加算を組み込み、稼働率を確保。

まとめ:制度理解と準備が開設成功のカギ

重度訪問介護事業を始めるには、人員・設備・運営・法的基準を満たすことが必須です。
手続きはやや複雑ですが、制度の流れを理解し、しっかり準備すれば安定した運営が可能です。

特に重要なのは、「人材確保」「計画的な申請準備」「地域との連携」
福祉ニーズが高まる今、重度訪問介護は社会貢献と事業成長を両立できる分野です。

これから参入を検討している方は、まずは自治体の障がい福祉課に相談し、要件の確認からスタートしましょう。

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