更衣介助のペースが合わない…改善点は?|安心とスムーズさを両立させる関わり方のコツ

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更衣介助は、利用者さんの身体状況や認知の状態、心理的な不安が影響しやすいケアです。
そのため、「こちらが急いでいるほど、逆に動作がゆっくりになる」「声をかけても動いてくれない」「途中で固まってしまう」といった状況は珍しくありません。

更衣介助のペースが合わない背景には、利用者さん側の不安・緊張・理解の難しさが隠れています。
そして、介助者の側に焦りがあると、その雰囲気が利用者さんに伝わり、さらに動きが鈍くなるという悪循環も起こります。

この記事では、更衣介助のペースを合わせながら、安全に・効率的にサポートするための声かけ・手順・環境づくりについて、具体例を交えて解説します。

① 焦りが伝わると利用者さんの動きは遅くなる

介助者が「早くしなきゃ」「次の予定がある」と焦っているときほど、利用者さんは動きがゆっくりになることがあります。
これは、緊張すると身体に力が入り、動作がぎこちなくなるためです。

特に認知症の方の場合、介助者の雰囲気を敏感に感じ取りやすく、

  • 動かない
  • 身体が固まる
  • 介助に抵抗する
  • 不安から表情が曇る

といった反応につながります。

急ぐほど進まない。落ち着くほど進む。
更衣介助では、この“特性”を忘れないことが非常に重要です。

② 「次は○○しますね」と動きを小刻みに予告する

更衣介助がうまくいかない原因の大半は、利用者さんが「何をされるのか分からない」不安を感じていることにあります。
服を脱ぐ・袖を通す・立つ・座る…更衣は動作の変化が多く、刺激も大きいケアです。

そのため、一度に大きな動作を行うのではなく、“小刻みに予告すること”が効果的です。

声かけの例:

  • 「今から袖を通しますね」
  • 「右手を少し上げましょう」
  • 「次は左側にいきますね」
  • 「ゆっくりで大丈夫ですよ」
  • 「腰を少し浮かせましょうね」

事前に動作を“予告”されることで、利用者さんは心の準備ができ、体を自然に動かしやすくなります。

特に認知症のある方は、「次に何が起こるのか」を理解しやすくなり、不安が大きく減ります。

③ 急ぐときほど“落ち着いた声”が効果を発揮する

時間がないタイミングこそ、介助者の心の余裕が大切です。
焦りや苛立ちを抑えるためにも、ゆっくり・低めの声で話すことを心がけましょう。

なぜなら、声のトーンは利用者さんに大きく影響を与えるためです。

  • 高い声 → 緊張を招き、動作が遅れる
  • 速い声 → 理解が追いつかず混乱する
  • 落ち着いた声 → 安心し、行動がスムーズになる

更衣のペースがずれてしまうときは、意識的に話すスピードを落とすだけでも場の空気が安定し、結果としてスムーズに進みます。

④ 服の選び方・準備の仕方もペースに影響する

更衣介助は、使用する衣服や事前の準備によって大きく効率が変わります。

例えば、

  • 袖が細い服 → 手が通りにくく時間がかかる
  • ボタンが多い服 → 認知症の方が混乱しやすい
  • 重い素材 → 持ち上げにくく疲れやすい

こうした服は、ペースが合わない原因を作りやすくなります。

対策としては、

  • 伸縮性のある素材を選ぶ
  • 大きめサイズを使用する
  • 前開きの服を優先する
  • 衣類は手順に沿って分かりやすく並べておく

といった工夫が有効です。

特に「準備の段階で8割決まる」と言われるほど、更衣介助は事前準備の影響が大きいケアです。

⑤ 動かしにくい理由が身体に隠れていることもある

ペースが合わない背景には、心理的なものだけでなく身体的な問題が隠れている場合もあります。

観察したいポイント:

  • 肩や腕の痛みがないか
  • 関節の可動域が狭くなっていないか
  • 拘縮が進んでいないか
  • 腰痛や下肢痛が動きを妨げていないか
  • 疲労や眠気が強くないか

特に肩の可動域制限や拘縮は、袖を通す・手を上げるといった動作に大きく影響します。
「動かない=拒否」ではなく、「動かせない=痛い」可能性も考える視点が必要です。

⑥ ペースが合わせにくいときは“こちらが合わせる姿勢”が大切

更衣介助は、利用者さんのペースに寄り添うことで一気にスムーズになります。

  • スタッフが利用者さんの動きに合わせる
  • 無理に急がせず、できる範囲で動いてもらう
  • 難しい部分だけ軽い介助を入れる
  • 成功できた部分を大きく肯定する

この“合わせる姿勢”が、安心感と信頼感につながり、結果として介助が進みやすくなるのです。

まとめ:更衣介助は「安心づくり」と「予告の細かさ」でペースが整う

更衣介助のペースが合わないのは、利用者さん側の問題ではありません。
ほとんどの場合、不安・痛み・理解の難しさといった背景が存在します。

① 急ぐほど進まない。落ち着いた関わりが大切
② 動作を小刻みに予告する
③ 声のトーンとスピードを落として安心感を作る
④ 衣服の選び方・準備の仕方を工夫する
⑤ 痛みや可動域の問題も確認する
⑥ 利用者さんのペースに合わせる姿勢が最も重要

この6つを意識することで、更衣介助は格段にスムーズになり、利用者さんとスタッフ双方にとって負担の少ない時間になります。
焦らず丁寧に、安心できる更衣の時間を一緒に作っていきましょう。

介護現場あるあるQ&A


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