おむつ交換の標準化が全国で見直され始めている:スタッフ間の手順差が事故と負担を生む理由とは

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おむつ交換は、介護現場で最も頻度の高いケアのひとつです。
毎日のように行っている分、つい「各自のやり方」になりやすく、スタッフごとに手順や意識がバラバラになりがちです。
その小さな差が、皮膚トラブル・臭気・ヒヤリハット・時間ロスにつながっていることが、あらためて見直され始めています。
この記事では、“おむつ交換の標準化”をテーマに、現場スタッフ目線での課題と、今日からできる見直しポイントを整理します。

なぜ今、“おむつ交換の標準化”が必要なのか

  • スタッフごとにやり方が違う。
  • 新人教育が人任せになっている。
  • トラブルの振り返りがしづらい。

同じ施設内でも、「体位の変え方」「おむつの当て方」「汚染物のまとめ方」など、細かいやり方が人によって微妙に違います。
新人教育も「先輩の背中を見て覚えてね」という属人的なスタイルになりやすく、誰から教わるかで質が変わるという問題が起きがちです。
また、皮膚トラブルや漏れが起きたとき、手順がバラバラだと、原因を特定して改善することが難しくなります。

現場で起きている“手順差”の具体例

  • 体位変換の方法・回数。
  • 汚染物の扱い・片付けの順番。
  • 陰部洗浄・保湿の判断基準。

あるスタッフは二人介助でしっかり体位変換を行い、シーツ汚染を最小限に抑えていますが、別のスタッフは時間優先で体位変換を最小限にすることもあります。
汚染物も、「先にビニール袋にまとめてから新しいおむつを広げる人」「おむつを当ててから汚染物を片付ける人」など、微妙な違いが見られます。
陰部洗浄や保湿も、「うっすら赤みでも洗浄・保湿する人」と「明らかな発赤やびらん時のみ対応する人」で判断が分かれやすいポイントです。

たとえば、
・体位変換を省略気味 → 一部に圧が集中し、皮膚トラブルが増える。
・汚染物のまとめが甘い → ベッドまわりの汚染範囲が広がり、片付け時間が増える。
・洗浄と保湿の判断がバラバラ → 日によって状態が上下し、経過が追いにくくなる。
といった影響が出やすくなります。

「標準化」することで得られるメリット

  • 皮膚トラブルの減少。
  • 作業時間の安定・短縮。
  • 新人教育の質の均一化。

手順を標準化することで、圧抜き・洗浄・保湿のタイミングが揃い、褥瘡リスクやかぶれ、発赤の発生率を下げることができます。
また、「どのスタッフが行ってもほぼ同じ流れになる」ことで、作業時間も読みやすくなり、シフト全体の段取りが組みやすくなります。
新人教育においても、「この手順書どおりに」「このチェックリストに沿って」と伝えられるため、教える側・教わる側のどちらにとっても負担が減ります。

標準化後に、「おむつ交換1回あたりの平均時間が短くなり、夜勤帯の業務が回しやすくなった」「皮膚トラブルの記録が減った」という声が出ている施設もあります。

今日から見直せる“標準化ポイント”

  • 手順書とチェックリストの作成。
  • 物品配置の統一。
  • 声かけの統一。

最初に取り組みやすいのが、「手順書+チェックリスト」の作成です。
細かすぎるマニュアルではなく、流れとポイントがひと目で分かるA4一枚程度にまとめると、現場でも使いやすくなります。
物品配置も、ベッドサイド・ワゴン・汚物処理室など、どの現場でも「ここに行けば同じ並びで置いてある」状態にしておくことで、誰が対応しても迷いが減ります。
声かけについても、「今から体を横に向けますね」「少しだけお尻を拭きますよ」など、基本のフレーズを揃えておくと、利用者の安心感が高まり、協力を得やすくなります。

手順書の見直しをするときは、
「現場で一番おむつ交換をしているスタッフ」と「新人」の両方に確認してもらうと、
・ベテラン目線の安全性
・新人目線の分かりやすさ
を両立しやすくなります。

チームで“同じやり方”に寄せていく工夫

  • 小さな勉強会・デモンストレーション。
  • 「なぜそうするか」まで共有する。
  • 修正点があれば随時アップデートする。

標準化を進める際に大切なのは、「やり方の押しつけ」にならないことです。
ミニ勉強会で実際にデモンストレーションをしながら、「なぜこの順番なのか」「なぜこの体位変換が必要なのか」といった理由までセットで共有することで、納得感が生まれます。
また、一度作った手順書を固定ではなく、現場からのフィードバックで少しずつアップデートしていくことで、より使いやすい形に育てていくことができます。

新人教育の中に“標準化”を組み込む

  • 動画・図解を活用する。
  • チェックリストで習得度を確認。
  • 「できたこと」を言葉で返す。

新人にとって、おむつ交換は緊張の大きいケアのひとつです。
実技指導の前に、簡単な動画や図解を見てもらうことで、動きのイメージを先に作ることができます。
指導側はチェックリストを使いながら、「ここまではできている」「次はここの精度を上げよう」と、具体的にフィードバックすることが重要です。
「今日は体位変換の声かけがよかったね」など、できた部分を必ず言葉で返すことで、新人の自信と定着につながります。

チェックリストは、
・事前準備ができているか
・声かけができているか
・皮膚状態を確認しているか
・後片付けまで完了しているか
など、流れに沿って5〜7項目程度にすると、現場でも使いやすくなります。

まとめ:おむつ交換の“土台づくり”は、スタッフをラクにする

  • 手順の標準化で品質と安全性が安定する。
  • 物品配置と声かけを揃えると、現場の負担が減る。
  • 新人教育も「人」ではなく「仕組み」で支えられる。

おむつ交換は、「毎日の当たり前のケア」だからこそ、少しの差が積み重なって大きな差になります。
標準化は決して堅苦しいものではなく、スタッフがラクになり、利用者が安心できる土台づくりです。
まずは、自分の施設のやり方を一度言語化してみること。
そこから、「ここは共通で揃えよう」「ここは各自の工夫でOK」と話し合うことで、現場に合った“ちょうどいい標準化”が見えてきます。
今日のおむつ交換から、ひとつだけでも「揃えるポイント」を意識してみませんか。

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