介護人材の確保が急務となる中、厚生労働省は「入門的研修」の全国拡充を進めています。
これにより、未経験・異業種出身者が介護の世界に入りやすくなる一方、現場には新たな課題と変化が生まれています。
この記事では、制度の背景とともに、現場スタッフが押さえておきたいポイントを紹介します。
2025年に向けて進む「入門的研修」強化の背景
人材確保と育成の両立が急務に
- 介護人材の不足が深刻化している。
- 未経験者が現場に入りやすい仕組みが求められている。
- 短期間で基礎を身につける“入門研修”が全国的に整備中。
厚労省は、2025年までに約245万人の介護人材を確保する目標を掲げています。
その第一歩として、介護の入り口を広げる「入門的研修」が注目されています。
安全・倫理・感染対策・移乗技術など、現場に入る前に必要な基礎を学ぶ仕組みです。
現場スタッフが感じる“変化と課題”
未経験者の増加で現場が直面する課題
- 新人スタッフの比率が高まり、指導・見守り負担が増える。
- 研修内容の地域差により、到達度にバラつきがある。
- 安全・倫理意識に個人差があり、現場での再教育が必要。
新人比率の上昇により、現場スタッフの指導負担が重くなる傾向です。
また、入門研修の内容は地域や実施団体で差があり、理解度・実技レベルのばらつきも課題となっています。
そのため、現場での“仕組み化されたOJT”や、再教育・フォローアップが欠かせません。
今すぐ整えたい“新人受け入れの型”
OJTを個人技からチームの仕組みへ
- 3日・3週・3か月で育成ステップを区切る。
- 初期段階ではシャドーイング(同行)を徹底。
- 申し送りや報告をフォーマット化して共有。
育成を「期間ごとの到達目標」で区切ることで、進捗が見えやすくなります。
最初の1~2週間は必ず先輩と同行し、観察→部分実施→独立の流れを明確化。
報告・連携は「事実→解釈→次の行動」の共通ルールで行うと、チーム全体の質が揃います。
入門研修後の“現場接続”を意識する
- 施設独自の「スタートブック」を用意する。
- 実技練習の機会を増やす。
- メンタル面のフォロー体制を整える。
入門研修と現場実務の“ズレ”を埋めるために、施設ごとのスタートブックが有効です。
また、移乗・排泄・口腔ケアなどの実技を繰り返し練習できる環境づくりや、短時間の面談・相談窓口などによる心理的サポートも離職防止に直結します。
スタッフ個人にとってのチャンスと備え
“教える力”が評価される時代に
- 教育スキルがキャリア評価の対象となる。
- 伝え方ひとつで事故リスクを減らせる。
- ICT操作や記録の標準化も強みになる。
今後は「育成できるスタッフ」が求められる時代です。
教え方・伝え方・評価の仕方を身につけることで、リーダー職や加算対象業務にも活かせます。
また、新人と一緒にICT操作やLIFE記録を学ぶことで、チーム全体のデジタルスキル向上にもつながります。
まとめ:入口を広げ、現場で“育て切る”仕組みへ
「入門的研修」の強化は、介護職の入口を広げるだけでなく、育てる力のある現場づくりを求める動きでもあります。
重要なのは、①育成ステップの明確化 ②フォロー体制の整備 ③チームで支えるOJT文化。
未経験者が増えるいまこそ、スタッフ一人ひとりが“教える側の成長”を意識することが、安定した職場づくりの鍵です。
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飲食・WEB・デザイン・出版など、様々な業界を経てきた現役のケアワーカー。介護にたどり着いたのは、大好きだった祖母の自宅介護がきっかけ。ケアチルでは、現場での視点も交えつつ、これから介護業界に携わろうとしている方、すでに業界にいて岐路に立っている方に向けて、介護業界の情報を分かりやすくお届けします。