介護現場でよく聞く悩みのひとつが、「ラウンドがいつもバタバタしてしまう」という声です。
利用者の多様なニーズに応えながら、巡回・記録・対応を同時にこなすのは簡単ではありません。
新人スタッフは特に、動く順番や優先度の判断に迷い、気づけば時間に追われてしまいがちです。
しかし、ラウンドはちょっとした工夫と“順番の決め方”を変えるだけで、驚くほど安定します。
この記事では、迷わず動けるラウンドの組み立て方、優先度の考え方、動線の見直し方法など、実践で役立つ改善ポイントを紹介します。
① 優先度を決めると“動きが安定する”
ラウンドがバタつく原因のひとつは、「行く順番が曖昧」なことです。
目についた部屋から入る、呼ばれた順に対応する──という動き方では、効率が悪く、戻りや重複が増えてしまいます。
まず大切なのは、ラウンド前に優先度を整理することです。
優先度を決める目安:
- ① 危険度が高い人(転倒リスク・体調不安)
- ② ナースコールが多い人(不安が強い・見守りが必要)
- ③ タイミングが決まっている人(排泄・服薬・移動時間など)
この順番を意識するだけで、巡回の流れに “軸” が生まれ、判断がスムーズになります。
② 「右回り」「左回り」で動線が大きく変わる
同じフロアでも、動く方向(右回り・左回り)を変えるだけで、移動距離や無駄な戻りが大きく変わります。
こんなケースはありませんか?
- 同じ場所を何度も通ってしまう
- 右端の部屋に寄った後、左端に戻る動きが増える
- 中盤で忘れ物に気づき、戻ることが多い
こうした“無駄な往復”は、疲れ・焦り・ミスにつながりやすくなります。
一度シフトごとに、「右回りのほうが早いのか?左回りのほうが早いのか?」を見直してみると、効率が大きく変わることがあります。
③ シフトごとに「標準ルート」を決めると安定する
ラウンド改善の最大のコツは、“毎回ゼロから考えない”ための仕組みを作ることです。
そのために有効なのが、シフトごとに「標準ルート(基本の回り方)」を決めること。
例として、早番・遅番・日勤でラウンド内容が変わる場合:
- 早番は起床介助の流れからスタート → Aルート
- 日勤は見守りと記録が中心 → Bルート
- 遅番は夕食・就寝準備の流れ → Cルート
このように、シフトの役割に合わせて“基本ルート”を設定することで、
・新人が動きやすくなる
・引き継ぎがスムーズになる
・全体の見守りが漏れにくくなる
といったメリットがあります。
標準ルートは「固定」ではなく、
状況に合わせて応用できる“基本形”と捉えるのがポイントです。
④ ラウンド前に「危険予測」をすることでバタつきが減る
ラウンドの出発前に、ほんの1〜2分でいいので、
「今日の危険ポイント」を頭の中で確認しておくと、動きに余裕が生まれます。
例:
- 〇〇さんは昨夜ふらつきがあった → 早めに様子を見よう
- △△さんはトイレが近い → この時間に寄りたい
- □□さんは眠気が強い薬を開始 → 転倒リスクを意識
この「予測」があるだけで、ラウンド中の優先順位が自然と明確になり、無駄が減ります。
⑤ “記録と申し送り”でラウンドがさらに整う
ラウンドは単に「見る」だけでなく、
情報を次につなげる役割を持っています。
気づいたことをこまめに記録し、申し送りで共有することで、
チーム全体の視点がそろい、ラウンドの質も安定します。
例:
- 「〇〇さん、朝の立ち上がりふらつきあり」
- 「昼食後に□□さんが居眠りが増えている」
- 「△△さんのトイレ誘導はこの時間が安心」
こうした小さな気づきが、次のラウンド改善につながります。
まとめ:ラウンドは“優先度+動線+標準ルート”で安定する
ラウンドがバタバタしてしまうのは、スタッフの力量不足ではなく、
動きの順番・優先度・動線が整理されていないためであることがほとんどです。
今日からできる改善ポイントは、次の3つです。
① 優先度を決める
② 右回り・左回りを見直す
③ シフトごとに標準ルートを作る
この3つを押さえるだけで、ラウンドの安定度は大きく向上します。
スタッフ全員が迷わず動けるようになれば、利用者の安全やケアの質にも直結します。
焦らず少しずつ、チームで改善を積み重ねながら、“落ち着いて動けるラウンド”を作っていきましょう。
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飲食・WEB・デザイン・出版など、様々な業界を経てきた現役のケアワーカー。介護にたどり着いたのは、大好きだった祖母の自宅介護がきっかけ。ケアチルでは、現場での視点も交えつつ、これから介護業界に携わろうとしている方、すでに業界にいて岐路に立っている方に向けて、介護業界の情報を分かりやすくお届けします。