介護現場では、利用者の状態、薬の変更、生活リズムの変化、家族からの要望など、毎日さまざまな情報が飛び交います。
新人のうちは、申し送りのスピードにも内容にもついていけず、「覚えきれない」「整理できない」「どれが重要か分からない」と感じる方が多いのではないでしょうか。
しかし、申し送りは“慣れ”だけで解決するものではありません。
ポイントをつかめば、誰でもスムーズに情報整理ができるようになります。
この記事では、介護現場で今すぐ実践できる申し送りの聞き方・整理の仕方・チームで統一する工夫を、具体的に紹介します。
「申し送りが難しい」と感じるのはなぜ?
申し送りが混乱しやすい理由には、いくつかの共通点があります。
- 情報量が多い
- 人によって伝え方が違う
- 必要な情報と補足情報が混在している
- 緊急度・重要度を判断しにくい
- 一度で覚えようとしてしまう
つまり、情報整理の型や聞き方のコツを知らないまま受け取っているため、混乱してしまうのです。
① 「結論→理由→補足」の順で聞くと理解しやすい
申し送りは、わかりやすい順番で整理するのがポイントです。
最も効果的なのは、「結論→理由→補足」という並びで聞くこと。
具体例で見てみましょう。
★結論:「〇〇さん、今日は入浴中止です。」
★理由:「発熱があり、体調が安定していません。」
★補足:「午後に再度バイタル確認、食事量は普段通り。」
この順番で整理すると、頭に入れやすく、後から振り返りもしやすくなります。
逆に、補足から話されると混乱しやすく、重要なポイントを取りこぼしてしまいます。
「結論から教えてください」とお願いするのも、現場では一般的なコミュニケーションです。
② 自分用のメモをテンプレ化すると情報が整理しやすい
申し送りは、聞いたままメモすると乱雑になりやすく、後で読み返したときに理解できない…ということが起こりがちです。
そこでおすすめなのが、“自分用のテンプレート”を作ってメモを取る方法です。
たとえば──
| 項目 | メモ例 |
|---|---|
| 結論 | (例)〇〇さん → 入浴中止 |
| 理由 | 発熱・体調不良 |
| 対応 | バイタル再確認・安静 |
| 補足 | 食事は通常通り、家族へ報告済み |
このようにテンプレート化することで、
・重要ポイントの取りこぼし防止
・情報の理解が深まる
・後から確認しやすい
というメリットがあります。
新人のうちは形を決めておくと混乱が激減します。
慣れてきたら職場に合わせてカスタマイズするのもOKです。
③ チームで「伝え方の型」を統一すると情報共有が安定する
申し送りが混乱する大きな理由の一つは、スタッフごとに伝え方がバラバラであること。
たとえば、ある人は補足から話し、別の人は自分の解釈を混ぜて話してしまう…という状態だと、受け取る側が毎回苦労します。
そこで大切なのが、チーム全体で「伝え方の統一」をすることです。
おすすめの型は、次の3ステップ:
- 結論(何が起きたか、何をすべきか)
- 理由(なぜその対応なのか)
- 補足(細かい情報、背景)
この型を全員が意識するだけで、申し送りの質が大きく安定します。
情報が正確に伝わりやすくなり、ケアの統一にもつながります。
④ 情報が多すぎると感じたら「優先順位」で判断する
申し送りでは、すべての情報を同じ重みで覚える必要はありません。
特に重要なのは次の2つです。
- ① 安全に関わること(転倒・誤嚥・発熱・薬の変更 など)
- ② その日の業務に関係すること(排泄・入浴・食事など)
反対に、
・雑談の内容
・過去のエピソード
などは、余力があるときに覚えればOKです。
「まず安全・次に業務・そのあと余裕があれば補足」という優先順位を持っておくと、混乱せずに整理できます。
⑤ 情報が多い日は「復唱」で理解を固定する
情報量が多い日は、受け取った内容をそのまま口に出して復唱するのが効果的です。
例:
「〇〇さんは発熱で入浴中止、午後にバイタル再確認ですね。」
復唱をすることで、
・相手の伝え間違いを防ぐ
・自分の理解のズレが確認できる
・記憶に残りやすくなる
というメリットがあります。
まとめ:申し送りは“技術”。コツをつかめば誰でもできる
申し送りが難しく感じるのは、情報量が多いからではなく、整理のコツを知らないだけです。
「結論→理由→補足」の型で聞き、テンプレート化したメモで理解をサポートし、チームで伝え方を統一する──
これだけで申し送りは驚くほどスムーズになります。
焦らず、今日から少しずつ実践してみましょう。
情報整理の力は、介護職として長く働くうえで必ず役立つ武器になります。
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飲食・WEB・デザイン・出版など、様々な業界を経てきた現役のケアワーカー。介護にたどり着いたのは、大好きだった祖母の自宅介護がきっかけ。ケアチルでは、現場での視点も交えつつ、これから介護業界に携わろうとしている方、すでに業界にいて岐路に立っている方に向けて、介護業界の情報を分かりやすくお届けします。